二次会
あらすじ
宴が開かれた。
「二次会じゃあ〜!」
「「「かんぱーい!」」」
カーン!
グラスとグラスがぶつかる音が響く(おれとソニアはぶどうジュースだが)。
宴があらかた終わったあと、おれ達は祝勝会兼反省会を開くこととなった。
「ところで、ずっと気になってたんだけど腕どうしたの?」
ソニアは片手に包帯をしている。
「ちょっと脱臼しちゃってね」
「エッ」
「そんなことより」
言うほどそんなことか?
「なんであんな無茶したの?」
「なんでってそりゃ」
いい考えだと思ったから。ただ2人の役に立ちたかったから。
2人が命懸けで戦ってんのにおれが命張らないのはおかしいだろ。
「…なるほどね。そんな顔するんだ」
「まだ特になんも言ってないけど」
「あんたのこと、ずっと意味わかんないと思ってたけど意外とわかりやすいこともあるのね」
「なにを…」
「自分のこと足手まといだと思ってる?」
それは、ずっと。おれがソニアやキシリカと行動する上でずっと頭の中の隅に浮かんでいた言葉だ。
前世で花田さんを庇った時、おれはあの子に深い傷を負わせてしまったかもしれない。
それはひとえにおれが強くなかったからだ。あの子は守れたが自分は守れなかった。おれがもっと強ければあんな凄惨なもの、彼女の目に映さないことだってできたはずだ。
異世界に来て、自分や他人を守れる力を求めたが、結局はソニアやキシリカの心をむやみに掻き乱しただけだった。今のところ命は繋がっているが、この豪運がいつまで続くかはわからない。
だから、今は切実に___
「強くなりたい…誰にも心配させないくらい…全員、守れるくらい」
「バッカじゃねぇ」
「はぁ?」
「だから強くしてやろうと言ってるんじゃこのわしが」
誰にも負けないくらいな、とキシリカは続けた。
「お前は無謀の大馬鹿者じゃ。だがな、勇気とは無謀から始まる。お前はわしが見た中で一番無謀の超バカじゃ。見込みがある」
若干バカにされてる気がするが、これはキシリカなりの励ましだと気づき、ちょっとジーンときた。
「わたしはね、ぶっちゃけいるだけで構わないというかマスコットというか…」
モゴモゴとソニアも何か言っている。
「…つまり!わたしとしてはあなたが強くなくても別にいいっていうかぁ?そこにいてくれるだけで元気が出るっていうかぁ?」
「このツンデレ野郎!」
「じゃあ反省会は終わり!祝勝会じゃ!!」
おれ達は飲めや歌えやで楽しい夜を過ごした。
この宴は別室の客から苦情を言われるまで続いた。
見てくださってありがとうございます!