VS『巨大トカゲ』
あらすじ
地下の魔物を退治することになった。
バラバラと天井の岩が崩れ落ちる。
かろうじて避けたおれはあのバケモノを見やる。
…デカすぎる。一挙手一投足がおれの命を奪うには十分だ。
ソニアは奮戦しているがせいぜい表面に傷をつける程度だ。
「まだまだぁ!」
キシリカも魔法で攻撃しているが攻めあぐねている。
「久しぶりだなぁ、こんな魔物は!」
嬉しそうである。
何か、この状況でおれにできることは…
その時、変化が起こった。
「口を開けた?」
奴が口を開いた。
「うぁ…?」
足から急に力が抜け、息が苦しくなった。
「そうか!こいつがガスの源じゃ!」
キシリカの即席ガスマスクを貫通する濃度のガス。こんな場所に長時間いたら言わずもがな死ぬ。
そういえばこのガス…
…そうか、おれにもできることが見つかった。
「こっちだバケモノ!」
ダイゴが急に大声を出した。
何をやってるのよあのバカは!?
案の定魔物の注意がダイゴに逸れた。
やばい。このパーティーで一番自衛能力がないのはあいつだ。
踏み潰される。噛み殺される。
ガスでもうろうとした頭の中で嫌な予感だけが膨らんでいく。
魔物が口を開いた。またあのガスを排出するつもりだろうか。あんな至近距離で食らったらひとたまりもないはずだ。
しかし、
「かかったな!」
次の瞬間、急な強い光と共に魔物が爆散した。
わたしは呆然となってしまう。
なぜ急に爆発したのか。
そんなことより、
「だい、ご?」
激しい爆発だった。近くにいないわたしですらふっとばされた。
ならもっと近くにいたダイゴは?
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「ダイゴ!返事をして!」
「へいへい」
ダイゴは普通に生きていた。
「は?」
「いや〜さすがに死んだと思ったけどさ〜、キシリカのファインプレーで」
「バカ野郎!使うなっつっただろうが!」
キシリカが自分のキャラを忘れるほどキレている。
どうやら爆発の直前で空気の手でやつを包んで助けたらしい。
「外が硬いんだったらさぁ、内はどうなのかなって思って。おれの魔法で着火してみたんだ。したら、身体ん中のガスに引火して予想外の大爆発って訳」
「〜〜〜〜ッ!んのバカバカバカバカ!」
「痛たっ!殴んなよ!生きてたんだからいいだろ!」
「いいわけないじゃろが!お前はこれから毎日馬車に走ってついてこい!」
「そんな自転車と併走する犬みたいな」
なんだかんだよかったと胸をなで下ろした。
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