VS『ステァリヌスバス』
あらすじ
『ステァリヌスバス』がいた。
「きっしょい名前」
「学名だから仕方ないじゃろ」
学名だったんだ。
王都へ向かう道中、おれ達はスライム的なモンスターに遭遇した。
「こんなにデカいやつは中々おらんぞ」
まぁ、ここにはスティラ五杖さまがいるわけだし?倒すとしても楽勝だろ。
「お前らだけで倒せ」
「「!?」」
マジかよ。
「修行の一環じゃ」
「あのタイプの魔物に剣って効くのかしら…」
そう言いながらソニアが馬車を降りた。
「うぅ…」
しょうがなくおれも降りる。
が、
グチャッ。
気絶するかと思った。
あいつの食べ残しを踏んでしまった。
「ひぃ〜ん(泣)」
「情けないわ」
そう言いながらソニアは抜剣し、いつものように突撃したが、
「手応えがない!」
スライムの斬られた部分がすぐにくっつき、元通りになってしまう。
「くらえ!」
ならばとおれは指から火を発射した。
…多少は効いているように見える。
しかし、それもすぐ再生してしまう。
「あなたやっぱり魔法使い向いてないわよ!」
「今言うこと!?」
次の瞬間、前衛のソニアに向かってスライムが伸びた。
「ぐっ!?」
避けたように見えたが顔を掠めたようだ。
「熱っ!?」
ソニアの顔は頬の部分が少し溶けていた。
やばい、このままでは決定打を与えられず2人とも溶かし殺されてしまう。
しかし、おれは少し前(※前話)の会話を思い出した。
「キシリカぁ!」
「なんじゃ」
「さっき剣に魔法をまとわせて使う奴もいるって言ったよなぁ!?」
「そうじゃな」
キシリカはニヤリと笑った。
「ソニア!一瞬剣貸せ!」
「なんでよ!?剣がなくなったらわたしどうすればいいのよ!?」
「いいから少し時間稼いでくれ」
渋々と言った顔でソニアは剣を渡してくれた。
「長くはもたないわよ!」
「りょーかい!」
わたしはステァリヌスバスに走っていった。
素手で怒った動物と戦うのは地元で腐るほどしてきた。
やつがまた身体を伸ばしてきたが、身を低くして避ける。
「その程度!?」
やつは人語がわかるのかさらに攻撃が激しくなった気がする。
「うっ!」
致命的な部分は避けてはいるが、全ては避けきれない。
服や手や足に傷が増えていった。
「早く…しなさいよ!」
このままじゃ…!
やばっ。足ひねった。
わたしは盛大に転び、大きな隙を晒した。
やつが大きく身体を拡げ、わたしを飲み込もうとしている。
その時___
「待たせたな!」
聞き慣れた声が聞こえた。
「…遅いわよバカ!」
わたしは飛んできた剣を受け取り、剣を振った___
次の瞬間、スライムは細切れになった。
ソニアつえぇ。
「おつかれソニア!」
「死ぬとこだったわ…」
「ごめんって」
我ながら後ろでチマチマやっているのが情けなく感じるぜ…
「やるの」
キシリカが拍手をしながら言った。
「『やるの』。じゃないのよ!危うくお嫁にいけない顔になるとこだったわ!?」
「すまんて」
ちょっと申し訳なさそうに…いや全然悪いと思ってないわこれ。ニヤニヤしてるもん。お前は仲間内といる時の男子高校生か。
「じゃあ次はわしじゃな」
「「は?」」
次の瞬間にはおれ達は気絶していた。
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