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モノローグ・ジュノ2

 バイエルン様とダンジョンに向けて出陣するにあたり、サラサが俺たち3人にお守りだといって毒耐性が付与されたブレスレットをプレゼントしてくれた。



 俺は素直に嬉しかった。本当に俺たちのことを心配してくれている。


 でも、マルゴの事を見る視線が、心配するという気持ちの温度が、俺やケイゴとは違う色をしていることに気がついてしまった。


 なので、このお守りのプレゼントも単なる照れ隠し。


 本当はマルゴにだけプレゼントしたかったのではないかという、吐き気がするような醜い気持ちが湧き上がってくるのをとめられなかった。



 俺は本気で自己嫌悪に陥った。


 絶対にそんなことはないのに。


 サラサは本気で俺やケイゴのことも心配しているのに。


 3人とも本当に心の優しい気の良いやつらだ。そんなことはわかりきっている。


 殆ど毎日のようにケイゴの家で飲んで笑って馬鹿騒ぎして、たまには泣き上戸になってみたり。


 こんな関係、きっと一生のうちに二度とない。


 俺の大切な宝物だ。


 ああ、なんで恋なんてしたんだろうなあ……。


 いくら自分で恋心を封印しようと思っても、燻り続けてなくなってくれやしない。


 それでも戦場に発つ時間は無常にも来てしまう。


 恋敵のマルゴが戦死すれば俺にもワンチャンある。理屈で考えればそれは当たり前のことなのだが、そんなヘドロみたいな悪臭のする考えが頭にチラつくことすら俺には耐え難かった。


 マルゴは親友だ。ケイゴもサラサも含めて俺の人生で一番大切な仲間なんだ。ふざけるな。俺はまたもや人生で最悪の自己嫌悪に陥る。


 俺は自分で自分をぶん殴りたいという衝動に駆られ、実際右拳で右頬を殴った。


 …

 ……

 少しは冷静になれただろうか。


 ここはもっとシンプルに考えよう。


 マルゴが死んだらサラサが悲しむ。サラサが悲しむと俺も辛い。大好きなサラサを悲しませることを俺は絶対にしたくない。それは剣士として男として俺の最低限の誇りだ。ここは譲れねえ。


 だから俺は絶対にマルゴだけは生きて戦場から帰す。たとえ俺自身が死ぬことになってもそれだけはやり遂げる。


 俺は、そう心に誓った。

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