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k-82

 翌朝、マルゴ、ジュノ、サラサの3人がいつもとは違って元気だった。


 俺は彼らが荷馬車に乗ってレスタの町へ帰って行くのを見送ったあと、色々と考えなければならないことがあることに思い至った。


 まず、ギルドポイントが今回のダンジョン攻略で215に到達していた。


 次に、ダンジョン攻略報酬である金貨700枚の使い道も考えなければならない。


 あまり目立つことはしたくない。まず、お金から考えよう。


 家畜を増やすにしても、世話の手がまわらなくなるだけだし、そもそも俺一人生活するのなら今のままで十分だ。


 高価な装備を買うことも、自分で作る方が性に合っている。もしかすると、俺が作れないような武器をマルゴが仕入れている可能性もあるが。


 サラサに頼んでアッシュ用の可愛い服でも作ってもらうとか。


 それ以外にはギルドに討伐依頼を出す以外に使い道が思いつかない。


 そもそもサラサやマルゴを通じて商売をしているから、収入はそこそこ安定している。


 今さら大金が入ったところで、何か必要に迫られているようなことはない。


 次にギルドポイントのことを考えよう。


 ポイントが200以上あるということは、ポイント150の基本魔法が取得できることを意味する。


 俺は武技スキルのスキルビルドで今までやってきている。普通に考えれば、武技スキルをのばしていくべきだろう。


 しかし魔法か……。


 あの強い魔法使いは竜巻魔法で大蛇を倒した。おそらく風魔法だろう。今回のダンジョン攻略でもメイン火力になっていた。悩む。


 結局早い段階で魔法の鍛錬を開始し、今の武技スキルに魔法を加える方が後々プラスになるのではないかとの結論に至った。


 俺は、風魔法を取得することに決めた。



 11:00

 俺は、アッシュと一緒に冒険者ギルドに来ていた。


 俺はまず、ダンに金貨30枚を渡し討伐依頼を出す。ターゲットは俺が倒せないであろう大蛇、もしくはそれ以上に強い森やダンジョンにいる強敵と指定しておく。


 次に、ダンに風魔法の取得を依頼する。ギルドカードを提示してポイントを引いてもらう。



 ダンに待たされてやっと案内された先は、いつもと同じ道場だった。


 しかし、そこにいた人物は、白髪で背筋のピンと伸びた老人紳士だった。ただ、その老人は杖をついており左足が無かった。


 その老人はハンという名前だった。俺はハン先生と呼ぶことにした。


 ハン先生は戦いで片足を無くして、冒険者稼業を引退。こうして魔法教官を務めているとのこと。さっそく、魔法の訓練に入ることにした。


 まずハン先生が何ももっていない右手を木の的にかざし、「○×△■!」と短い言葉を唱えた。


 すると、ゴウと強風が吹き、木の的がふっとんだ。凄い……。風の力だけでこうなるのか。


 ハン先生がジェスチャーでお前もやってみろと言う。


 俺は、真似して「○×△■!」と唱えたが、何も起こらない。


 ハン先生が集中しろというゼスチャーをしたので、右手に集中する。何度も繰り返し練習した。


「○×△■!」


 ヒョワー


 風速10メートルくらいの弱々しい微風が、木の的の方に吹いた。



『個体名:奥田圭吾は魔法:ウインドLv1を取得しました』。



 ハン先生は拍手代わりに杖をトントンと打ち鳴らし、「オメデトウ」と言ってくれた。


 俺はハン先生に「アリガトウ」とお礼を言い、道場を後にした。



 17:00

 ずいぶん、長いこと魔法の訓練をしていた。


 しかし、この魔法何に使えるんだろうか。スカートめくりとかかかな。


 と、くだらないことを考えつつ、アッシュを連れてサラサの店に向かった。店には丁度スカートをはいたサラサがいた。


 なんで今日に限ってスカートをはいているかなあ。何も悪いことはしていないのだけれども、俺は少し後ろめたい気分になった。


 俺はサラサにジェスチャーでアッシュの服を作ってくれと頼みつつ、金貨5枚を渡した。


 サラサは多いと、金貨2枚を返してきた。律儀だからこそ信用できる。


 しかし、本当に大金の使い道が思いつかない。今度折をみてサラサを含め三人に相談してみようと思う。


 俺は、ついでに野菜や飲み物、パンなどの食料、薪などの生活物資をサラサから調達し、帰路についた。


 帰り道、さっそく鍛錬がてらウインドの魔法を使いながら荷馬車を走らせた。


 しかしすぐに魔力が尽き、急に倦怠感が襲ってきて、失神しかけた。


 慌ててデュアルポーションを飲んで失神は免れた。当分は、魔力のペース配分を考えるのに時間がかかりそうだ。

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