モノローグ・シュラク2
私は、冒険者ギルドマスターのシュラク。
先ほど、バイエルン様も同席される町会議に出席していた。
なんとか説得しようと試みたものの、バイエルン様のコカトリスに対する執念には並々ならぬものがあるご様子だ。何があったのだろうか。
きっと、石化攻撃をくらい、命の危険にさらされたことがよほど悔しかったのだろう。
散々モンスターの危険性を説明したが、説得することは無理だった……。
それならばと、せめて人選は私に任せてもらうようにした。そこだけは絶対に譲れなかった。
実力不足の冒険者⚔を無駄死にだけはさせてはならない。
それだけは、ギルドマスターとして絶対に容認できない。
コカトリスを討伐できる者となると、マルゴ、ジュノ、ケイゴの三人か……。
ケイゴオクダはヒーラーとしても優秀だ。何せ石化を治癒できるのだから。
あとはサーペントを退治した3人組。あのパーティはこのレスタの町でも指折りの実力者だ。
あとは、武技指導官のカイか。
彼には本来こういう依頼はしないのだが、バイエルン様の命がかかっているのだ、悠長なことを言っている場合ではない。
他の冒険者も最低限コカトリスに遅れをとらない連中を選ばなければならない。
私もギルドマスターだ。それなりの実力はあると自負している。私も参加すべきだ。
……この結果をギルドに持ち帰るのが本当に心苦しい。頭痛がしてきた。
最近頭髪の生え際も気になりはじめている。きっとストレスかもな。
ギルド職員ダンには冷たい目で見られるのがわかりきっているしな……。
俺は心の中で盛大なため息をついたのだった。