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k-72

 昼過ぎ。切り株に木を置いて斧で薪割りをしていたら、マルゴ、ジュノ、サラサが荷馬車に乗って心配顔で現れた。


 大方、町ではアホ貴族の騒動が噂にでもなっていたのだろう。


 三人は俺の何とものんびりとした、牧歌的な雰囲気を見て、ほっとした顔になった。俺が、強制連行されるようなヘマをするわけがないだろう。


 アッシュは三人を見るなり、尻尾をふりふり飛びついていた。誰にでも懐くアッシュに、ちょっとだけジェラシーだ。


 俺はキリの良いところまで、パカーンと音を立てて薪を割り続けた。薪割りの音の合間に小鳥の鳴き声が響いていた。


 薪割りを切り上げた俺は、額の汗をタオルでふきつつ、アッシュと遊ぶ三人のところへ行き、お茶を出してあげた。


 俺たちはお手製の切り株テーブルセットで談笑する。


 もっとも俺はニュアンスしかわからないので、何か聞かれたときにはジェスチャーで返す。いつものことだ。


 多分貴族のことを聞いているな。俺は、金をやってお帰り頂いたことを伝えたら、三人とも爆笑していた。


 丁度、今朝罠にかかっていた兎。それと卵、チーズで燻製を作るところだったと伝えたら、宴会をすることになってしまった。こいつら……。


 マルゴとジュノはもちろんのこと、サラサも意外といける口だったりする。


 せっかくなので、焼き鳥でもするかと、俺が燻製を作る傍らで、鶏の処理を3人にやってもらった。もちろん全員チビチビとやりながらである。駄目な大人たちである。


 言葉がわからないが、表情で楽しさが伝わってきて、俺も嬉しくなる。一緒に焚き火を囲い、歌い踊り酒を飲む。


 アッシュもサラサにお手をして、おつまみをもらっている。凄く楽しい。


 俺は、知らず知らずに静かな星の夜に合いそうな、ポップスを口ずさんでいた。


 三人とも俺の歌に耳を傾けてくれた。




 夜遅くまで宴会は続き、三人は俺の家に泊まることにしたようだ。アッシュは既におねむの時間で、俺の布団の定位置でスピースピーと寝息を立てている。


 三人には鍛冶小屋に藁を敷いてあげ、寝てもらった。


 今夜はちょっと冷え込みそうなので、炉には小さく火をいれておいた。




 翌朝、二日酔いの三人に俺は水を差し出した。


 俺は酒に強いのか、自制していたのか意外となんともなかった。三人は青い顔をしながら町へ帰って行った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全然人嫌いじゃないだろ。 毎日のように誰かが来る。
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