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モノローグ・マルゴ1

 俺はマルゴという。


 レスタという町でささやかながら武器防具店を営んでいる。


 妻のイザベルとは若くして死に別れ、男やもめになってずいぶん経つ。子供はいない。



 俺には最近面白い友人ができた。


 商売柄何かと付き合いのあるサラサやジュノとは別の男だ。


 そいつはケイゴという奴で、言葉を話せないのに字が書ける。全く不思議な男だった。


 あのコカトリスという化け物をジュノと奴とで倒した時は、血沸き肉が踊ったものだ。




 ケイゴは何故か町に住まうことを嫌う。


 奴は奴なりのポリシーがあるのだろう。俺もとやかく言うつもりはない。




 ケイゴには鍛冶師としての才能がある。


 何せ、武器防具をただ作るだけではなく、火や水の属性を付与できるのだ。


 剣にも属性を付与しているが、あれはこの店にもない珍しい雷属性だ。


 俺にもできない芸当なので方法を教えてもらいたいが、そんな企業秘密教えてくれるはずもないか。


 親しき仲にも礼儀ありだ。




 奴には、ファイアダガーを作ってもらって、格安で俺の店に卸してもらっている。


 俺も儲かっているので、詳しい作り方は聞かないことにしている。お互い持ちつ持たれつの関係だ。


 レスタの町の貴族にケイゴがファイアダガーの作成をしているとバレれば、徴税などでケイゴに多大なる迷惑がかかる恐れがある。


 なので、ファイアダガーは俺が鍛冶仕事で製作して売っていることにしている。




 ケイゴの家には風呂がある。


 ケイゴの家で風呂に入ったあとの一杯は格別だ。あいつの作る「クンセイタマゴ」なる食べ物は本当に絶品だ。




 この間、このレスタの町の貴族に狩り出されてケイゴには迷惑をかけた。


 ヘルハウンドから逃走するときもあいつはモンスターの炎から俺とジュノを守ってくれた。


 本当に頼りになる奴だ。




 あいつは、灰色の子犬を一匹飼っている。


 とても人懐っこくて可愛い。


 本当に可愛くて撫で回したいが、こんな厳しいおっさんがそんなことをしていると気味悪がられるので、自重している。





 俺はこんな厳しい風態だ。今更新しい妻を娶る気はない。


 だが男やもめはやはり辛い。子供でもいたらなと思う反面、俺に子育てなど無理だとも思う。


 だからこれでいいのだと思いつつ、鉄に槌を振るって寂しさを紛らわせる毎日。


 最近俺はケイゴのおかげで、寂しさを紛らわすことができている。


 本当にありがたいことだ。

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