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ホワイトさんの知識の中に、「目の前のパニックヒュドラワームは非常に高い再生能力があり、完全に倒すには9つの頭を同時刈り取る必要がある」というものがあった。
しくじれば頭は再生するだけではなく、あふれ出た体液からより多くのパニックワームが湧くという最悪の事態となるとのことだった。
ホワイトさんの助言で作戦を練り直した俺たちは、パニックヒュドラワームの首を左から1~9でナンバリングしていき、突撃班のメンバーにそれぞれが担当する首を決めていった。
突撃班のメンバーは、俺、ターニャ、ジュノ、マルゴ、シエラさん、戦士のヒジンさん、タンクのゴッズさん、スピードタイプのココリさん、アッシュ、シルベストさん、ビードラ、ツッチー、マペット、そして領軍精鋭に戦斧を装備させた十数名。
石塀の上から作戦指揮をするのは、ハトを飛ばして指示出しができるホワイトさんにお願いした。
パニックワームマスク含め装備を整えた俺たちは、治癒士のミズチさんから状態異常耐性のバフを受ける。
またどちらにせよ混乱瘴気を吸うことになるので、パルナ解毒ポーションをはじめから飲んでおくことにした。
足元を見ればパニックヒュドラワームの体液から生み出たパニックワームが津波となって北門に押し寄せてきている。
ユリナさん、弩級部隊、攻撃魔法部隊が遠距離攻撃で対応しているが、それでも倒しきれる数ではなく、石塀にとりつかれ始めている。兵士たちから「まだですか!?」といった悲鳴があがっている。
でもまだ早い。
その間にも、パニックワームの死体の上にさらにパニックワームがよじ登って来るという悪夢のような状況になり……。
「弩級部隊と投石部隊は本体に標的を変更! 突撃班は各自担当の首を切り落とせ!! 壁の部隊は俺たちが敵本体の首を切り落とすまで北門を死守!」
弩級と投石が敵本体に届く距離になったタイミングで俺はそう叫ぶと、突撃班メンバーはビードラの籠に乗り込んだ。俺はシルベストさんの背中に飛び乗り、ターニャは巨大化したアッシュに騎乗。
籠に入りきらないメンバーは、アッシュとシルベストさんの背中に手分けして乗った。シルベストさんは俺以外のメンバーを乗せることを嫌がったが、追加のメシを提示すると渋々許可してくれた。




