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シルベストさんが「そろそろ神樹様が心配だ」と言い、里に戻っていった。あの御神木はシルベストさん曰く神様が姿を変えたものだそうで。ジュノたちのことでお世話になったことだし、そのうちお参りに行こう。
そう言えば、瞬間移動装置でイトシノユリナと御神木のあった場所をつなげようとしてたのを思い出した。
あの場所には、イリューネ草以外にも高山でしか採れないレア素材が沢山ありそうだった。やっぱり鍛治錬金をする人間としては見逃せない。
さっそく瞬間移動装置のスペアが見つかってないか確認しよう。
当初俺の書斎に置いていた瞬間移動装置は、今は領軍の兵舎横に設置した駅と名付けた建物にあり、装置の両端に兵士を置いて悪用されないよう監視させている。
駅に入った俺は、ガンド王国の地下遺跡「知恵の間」に飛んだ。
……
地下遺跡では、狼マークの腕章をつけたヴォルフスザーン領、鬼マークの腕章をつけたガンド王国共同発掘チームが発掘調査をしていた。
腕章の有無で不審者かどうかを見分ける方法は、建設工事現場で足場から不審者が侵入しないように使われている建設会社の知恵だ。
知恵の間はAIみたいなシステムが監視しているので、おいそれと不審者は入ってこれないけど念の為。
うちの領からは、学校の先生や商人、魔術師など文字の読み書きができる知識人をチームメンバーに抜擢。
俺はうちの領の調査メンバーを探すことにした。狼の腕章、腕章……。
人を探していると、元ランカスタ語教師の調査隊員オルダさんが逆に俺を見つけて声をかけてきた。
「あ、オルダさん! ちょっと聞いても良いですか?」
オルダさんに目的の瞬間移動装置のことを聞くと、新たに休眠状態にあるものが数セット見つかったそうで、ガンドとの取り決めに従い2セットは今すぐにでも持ち出せるとのことだった。
取り決めと言っても、ここの管理権限者はあくまで俺に設定されているのでガンド側も強欲なことは言わなかった。ただ自国が脅かされるようなことがないよう、研究という名目で何が発見されたかの情報共有を要求されているという感じで、今のところ友好的な関係を築けていると思う。
今回はシルベストさんのところとイトシノユリナをつなげるのに必要な1セットだけ持ち帰ることにし、残りは必要に応じて持ち出そう。外よりもここに置いておいた方がAI(っぽい何か)の監視があって盗まれる心配もないだろうからな。




