k-456
安宿の部屋で、俺はビードラのテイムホテルからメレメレの卵を孵化器ごと取り出してテーブルの上に置き、何気なく眺めていた。
ターニャとアッシュは久しぶりのベッドで夢の中。
同じ爬虫類のビードラが、我が子を盗られたように感じたのか「クルル」と不満げに鳴いていた。
ビードラには大好物の鹿の干し肉を与えてなだめつつ、俺も干し肉をホットワインでふやかしながら食すことにした。ふー落ち着く。
くちゃくちゃと干し肉を嚙んでいると、不意にピキピキという乾いた音がした。
それは、メレメレの卵が割れている音だった。
早くも孵化が始まったようだ。
別室のホワイトさんに声をかけると、鼻息を荒くしながらやってきた。
俺とホワイトさんは大急ぎでタオルやらお湯やらを準備すると、卵からかえったメレメレの子供を綺麗にしてあげたのだった。
そのあと、お腹をすかせたメレメレにお湯でふやかした鹿の干し肉とおかゆを食べさせてあげたりと、世話をして過ごした。
試しにメレメレのステータスを確認すると、予想通りレベル1の状態なので全て一桁だった。
ただし、所有スキルが面白くて、【保護色】、【気配遮断】という隠密スキル、【視覚共有】というスパイスキル、それに【舌打ち】という攻撃スキルをもっていた。
元気いっぱいに歩き回るメレメレに【メレンゲ】と名付けた俺は、試しに俺はボールを背中に括り付け、スパイスキルを駆使して宿屋の中を探検させてみることにした。
女将さんにバレないように、壁に張り付いて同化してやりすごしてみたり、視覚共有スキルを使って宿屋の帳簿を天井から覗いてみたり。
ボールを背中からおろし、舌打ちスキルで音を立ててデコイのように使い、ターゲットを誘導みたいなこともやってみた。
まるでメタ〇ギアソ〇ッドみたいだ。
そしてふと、「そういえば、俺たちがこれからやることってメ〇ルギアそのものじゃね?」と思いつく。
メレンゲの能力が使えるかもと気がつく俺であった。




