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「この部屋の権利、俺がもらうってことで良いですよね?」
「ナンダトーーー!?」
あたかも軽いことのようにサラッと言ってみたけど、バンデッド王は目をひん剥いて唾を飛ばしてきた。やっぱり軽く流すのは無理だったようだ。
「だって、この部屋の権利者は俺ということになってますし。俺の許可がないと入ることもできないんですよ?」
「ダガコノトチハ、ガンドノモノダ!」
これだけの技術があれば、民たちをもっと楽にさせることができるのだぞ!? と口角泡飛ばすバンデッド王。
「100%こっちのもの」は無理っぽそうだ。じゃあ、別の切り口を考えるか……。
「バンデット様、俺はこれからあなたに非常に重要なことを言います。貴方の先祖である古代土鬼人はなぜこの場所を門で封印したと思いますか?」
俺は静かに大物っぽい雰囲気を醸し出してそう言った。
「インポータント」ととりあえず言っておけば、相手の機先を制するのに非常に有効なことは交渉での鉄則だ。その間に次なる一手を考えるのだ。
狙い通りゴクリと喉を鳴らすバンデッド王。してやったり。
だがこの後何を言うかで勝負が決まる。
もう時間がないぞ、何か言わなくちゃ……。翻訳者ハインリッヒ、スタンバイ・オーケー。
「俺はこの場所を見てこう思いました。道具や技術がどれだけ進歩しても使う人間が未熟で上手く使えない場合、それは刃となって我々に返ってきます。自然破壊、環境汚染、戦争の原因になりかねない。俺はそうなることを知っています」
なけなしのオツムをフル回転させる俺であった。




