k-416
「お、おい!」
知恵の門をくぐるデルムンドを制止するも、時すでに遅し。
『侵入者あり。M-430による高出力レーザーによる攻撃を開始します』
ピウン! ピウン!
「ヒイイイイイ!」
あちこちに設置されているレーザービーム砲台から威嚇攻撃が始まった。追い回され逃げ回るデルムンド氏。
あ、デルムンド氏のローブに穴が空いてら。頭に直撃したら脳みそ貫通しそう。
「言わんこっちゃない……」的なことを呟くバンデット王。全員きっと同じ感想だと思う。
というか、俺にマスター権限があるとかなんとか言ってたような気がする。
試してみよう。気兼ねのない日本語で。
「おい、デルムンド氏は少し頭がおかしいやつだが仲間だ。攻撃するな」
『イエス、マスター。マスターおよび門前にいる個体をマスターの下僕と認識。また「個体名:デルムンドは頭がおかしい」と言う情報をビッグデータにインプットしました』
「チョーット、マテエエエエ!!」
「ゲボク!?」
攻撃は止んだものの、デルムンド氏やバンデッド王が俺とAIっぽいタッチパネルの音声(知恵の間AIと呼ぶことにする)とのやりとりにツッコミリアクションをしていた。
どうやら他のみんなにも俺と知恵の間AIのやりとりがわかるらしく、別々の言語でもアナウンスされているっぽい。
迂闊なことは言わない方が良さそうだ。
「もう入っても大丈夫そうだ。みんな行こうか」
アナウンスも攻撃しないと言ってたし大丈夫だと思うけど、俺が先頭で一応警戒しながら門をくぐった。
するとそこには広大な空間が広がっていたのだった。




