k-412
バスタードソードを片付けた少女……、に見える名工デルムンド氏は俺とターニャが腰にぶら下げている剣について聞いてきた。
「デルムンド様の剣にはずいぶんと助けられてます」とハインリッヒに通訳してもらいつつ伝える俺。ターニャにもお礼を言わせる。
「ほう。そこのガキが?」という反応をしたデルムンド氏。ターニャを見る眼に力がこもる。
ターニャはデルムンドの圧に負けたのか、首だけでコクコクと頷いている。
「そうです、彼女は勇者のターニャです。魔王を倒す手がかりを探す旅をしています」
とターニャを紹介。
「魔王……、あぁ教皇ギデオンのことか。ボクも武器商人どもから情報は仕入れていてね。無礼を承知で言わせてもらうと、キミたちでは厳しいんじゃないかな」
と言うデルムンド氏。
彼女は俺たちとの会話に興味を失ったのか、別の砥ぎかけの武器を手に取ると砥石で調整を始め出した。
どうやら会話に全神経を集中する気はないらしい。
「神槌ミョルニル。そして神鉄オリハルコン。聞いたことありませんか? そしてここに、素材と思われる竜神グラシエス様の牙があります」
俺はバンデッド王に書いた内容と同じ文章をハインリッヒに見せ、彼女にそう伝えてもらった。
同時にグラシエス様の牙も取り出して見せた。
すると、彼女は意外な反応を見せたのだった。




