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そんな感じでイクメンをしている俺の元に、ゲルニカ陛下から慰労会を兼ねた晩餐会の招待状が届いた。
基本引きこもり体質なのでかなり面倒くさい。ただ息子のセトと許嫁のヴィオラ様と顔合わせをさせたいと言われてしまっては無視するわけにもいかない。
そこで俺たちは最近開発したサスペンションつきの馬車で王都に向かうことにした。
貴族に商品を売りつける千載一遇のチャンスを逃さないサラサとアイリスも、商品をしこたま積んで同行している。
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久しぶりに見た王城の湖面には紅葉が浮かんでいた。
晩餐会場に入ると豪華なシャンデリア、赤の布地に金色の刺繍がされた絨毯、テーブルには銀色のクロスがかけられ豪華な花で飾られていた。
ヴィオラやヴァイオリンのようであるが微妙に形が違う弦楽器で奏者たちが品のあるクラシカルな音楽を奏でている。
他の貴族たちも会場内に来ておりシャンパングラスを片手に談笑していた。俺たちの結婚式に来てくれた貴族もいる。
俺たちもウェルカムドリンクを受け取ると俺たちの結婚式に来てくれた知り合いに挨拶して回った。
ユリナさんは、ラフィット氏から買い取った艶のあるシルクをワインレッドに染めて作ったパーティードレスを着ていた。
実はこのドレスのシルクは魔力を含んだ特殊なカイコの糸で編まれたもので、防御力が水の◯ごろも級にあったりする。
ようやく首がすわってきたセトは秘書兼メイドのメアリーさんと新しく雇った執事のバーンズさんに預け、貴族夫人たちとの会話を楽しんでもらっている。
ドレスデザインは俺が元いた世界のモデルが着るようなブランドドレスをイメージして服飾職人に作ってもらった。
加えてアッシュをモチーフにユリナさんがデザインした「Y&S」のブランドポーチにアクセサリー。
「Y&S」のポーチはアースドラゴンの皮が使われており、ピアスやネックレスの石はドラゴンクリスタルを使用。
モデル、デザイン、品質全てにおいて圧倒的なクオリティに会場の女性たちの視線が釘付けになっている。
まあこれは全てサラサの筋書き通りなんだがな。
俺のコーディネイトは秋ということで黒スーツ、薄いブルーのシャツと主張を抑えつつ紅葉色のネクタイとチーフタイ、茶色の革靴。
暖色系の季節感を出してみたということになる。
服は全て俺がオーダーしユリナさんがデザインし、サラサが抱える服飾工房に作ってもらったものだ。




