k-371
俺が出場するのは1対1のトーナメント。
厳正なるくじ引きの結果、俺の出番は2回戦に決まった。
このトーナメントで優勝すれば賞金金貨300枚を獲得できるので、兵士からすれば一攫千金のチャンス。
訓練にも熱が入るというものだろう。
相手は新兵訓練カリキュラムを優秀な成績で卒業した、ヴォルフザーン軍のレジーナと言う女兵士だった。
何度か訓練を見学したことがあるが、なんでも卒なくこなす捉えどころのない人物という印象だ。
まあうちの兵士だからといって手加減はしない。
出場する兵士たちにも、「雇い主だからといって遠慮はいらん、恨みっこなしだ」と言ってある。
正々堂々勝負だ。
勝ち上がった時のことを考えると、戦力は温存しなければならない。だが幸い俺には4体モンスターがいる。
初戦なので、トップバッターは一番信頼のあるアッシュでいこう。
アッシュを連れて闘技場に上がる俺。
相対するレジーナは全身にマキビシを生やしたような丸いフォルムの金属っぽい質感のモンスターを連れていた。
見たことのないモンスターだが……。
俺が鑑定を発動すると同時に審判が開始の合図。
いつも無表情のレジーナがにやりと笑い、相手モンスターがアッシュに襲いかかった。
【ヘルボマー:死の瞬間、爆炎と瘴気を辺り一面に撒き散らす自爆モンスター。邪なる神々の手によって生み出されたと言われている。体力113、魔力1215、気力117、力112、知能161、器用さ172、素早さ142。保有スキル、自爆Lv10。契約者:レジーナ】
俺が止める間も無く襲ってくるヘルボマーをアッシュが神獣爪斬で一刀両断。
背中が悪寒で泡立った。
俺は猛然とヘルボマーに突進する。
爆発寸前と思われるヘルボマーを掴むと、テイムホテルの亜空間にぶち込んだ。
テイムホテルを閉じようとするが間に合わず、上の方に開いた隙間から瘴気を帯びた爆炎が舞い上がった。
爆炎は空を飛んでいた怪鳥っぽいモンスターを飲み込み、鳥の丸焼きが落ちてきたのだった。
これは明らかに人が集まる中で行われたテロ行為。レジーナを捕らえねば。
そう思った瞬間、囮に爬虫類系モンスターのリザードマンを出して逃げようとするレジーナ。
「アッシュ! マペット!」
俺はアッシュと召喚した魔木人形のマペットにレジーナを捕らえるよう指示。
アッシュがリザードマンの相手をしている間に、ここ最近素早さがさらに上がったマペットが拘束スキルでレジーナを捕えたのだった。




