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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 レスタを過ぎて領地に入ると、行き交う人、物流が以前よりも勢いがあるように感じられた。



 ゲルニカ陛下から領地をもらった時から、レスタとイトシノユリナをつなぐ街道に宿場町を作ったり、警備を増強するなりと街道整備を頑張っていたのでチラホラを集落ができたり行商人が行き交いしていたのは見ていたけど、増え方が異常な気がした。



 領地のお金と人の流れの管理を任せている商業ギルドに確認してみると、イトシノユリナの人口が出発する前よりも数千人規模で増えているようだった。



 原因はハイランデル王国との戦争で、北の民が安全な南の土地に逃れてきたということらしい。


 着の身着のまま逃げてきたような難民に近い人もいたようで、当初はかなり混乱があったそうだ。


 だが最近陛下が戦争終結のお触れを出したおかげで、その混乱も収束に向かっていっているとのことだった。



 そして混乱の中で役にたったのがイトシノユリナで作ったベーシックインカム制度だったそうで。



 移住希望者には等しく商業ギルドが身分証カードを発行し、住民登録を行なう。そして最低限食べ物は買えるように毎月銀貨1枚を自動でカードに入金するというシステム。


 出金は商業ギルド本店やいくつか設けた出張所で出金することが可能。


 さらに商業ギルド直営の店で買い物をすれば、まるでデビットカードで買い物をするかのようにスピーディかつキャッシュレスの取引ができるようになっていた。


 これによって難民たちの不安を鎮め、規律正しく過ごすことができたと商業ギルドの担当者は言っていた。(むしろ避難民はこれをアテに逃げてきたとも言える)



 また、俺が陛下から頂いたお金の一部をヴォルフスザーン領の口座に入れたものを使い、商人を通じて周辺の国地域から食料物資の調達も行えたことも大きかったそうだ。



 押し寄せる難民は時にその土地を混乱させるけど、上手く乗り切れれば単純に増えた分だけ人口ボーナスの恩恵に預かることができる。



 そして今回は大きな混乱もなかったので、単純に増えた人口の分だけ労働力や兵力が増え、領地の力が増加したということになるだろう。



 商業ギルドの会議室でベーシックインカムや食料備蓄担当者から報告を聞いていた俺は、横で嬉々としてこれから増える税収や経済効果の試算を始めるサラサと主計局の部下たちをぼんやりと眺めていた。

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