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k-3

 採取した植物は、ギザギザの葉の紫の花の植物、丸い葉の赤い花植物、丸い葉の青い花の植物だ。それを何株か根っこごともってきている。


 鑑定してみると、【花】としか表示されない。匂いをかいでも、鑑定結果に変化はない。やむをえない。食べてみるしかないか。


 まずは、丸い葉の赤い花の植物から。何となく、まともな気がしたからというアバウトな理由でしかない。


 むしゃむしゃ葉をかじって飲み込む。苦味があって、ちょっと、体から汗が出るような感じがした。そして再度鑑定してみる。


【ムレーヌ解毒草:ガドル毒、バドル毒の毒素、その他弱毒素や雑菌、食中毒を中和し治療する解毒草】


 単なる花だったのが、解毒草に鑑定結果が変わった。


 鑑定スキルは食べてみると、鑑定結果の表示も変わる仕様だということが解った。


 次に、丸い葉の青い花の葉っぱを食べてみる。むしゃむしゃ。


 すると、そこはかとなくハーブっぽい良い香りがして、体のあちこちが暖かくなり、体調が良くなった気がする。そして、再度鑑定。


【イレーヌ薬草:薬草。体力回復の効能がありポーションの材料となる】


 薬草! ファンタジーの定番! これは積極的に採取しなければなさそうなアイテムだ。


 最後に、ギザギザの葉で紫色の花の植物。少し嫌な予感がする。むしゃむしゃ……。


 唇に触れた瞬間舌がピリピリして。


「かはっ」


 息が詰まり、目の前がチカチカする。それとともに、同時に急激に冷えていく体温。


 俺は、先ほどのムレーヌ解毒草を乱暴につかみ、急いで食べる。


 仰向けになり、暫く休んでいると、何とか呼吸が落ち着いてきた。


『個体名:奥田圭吾は、毒耐性Lv1を取得しました』


 機械的なアナウンスが頭に響くが、それどころではない。死ぬかと思った。


 ゼーハーゼーハー言いながら、クラクラする頭を振りながら何とか起き上がる。


 ギザギザの葉の紫色の花の植物を再度鑑定する。


【バドル毒草:体力を奪う毒草】


 ……。一人で何をやっているのだ、俺は。



 ◇◇◇



 それから俺は、ムレーヌ草とイレーヌ草、解毒草と薬草の採取と栽培をすることにした。


 とりあえず、根から採取して、葉っぱをある程度刈り取ったあと、家の前に植えたのである。


 農具小屋に肥料があったので、撒いてクワで耕すのは忘れていない。


 ついでに、ジャガイモの種芋が小屋に保管されていたので、植えた。これも、北海道では定番の農作物だ。


 イレーヌ薬草については、鶏のエサにすることにした。


 薬草であるなら、毒に当たって死ぬということもないだろうという判断である。


 飲み水については、桶やゴミとして捨てる予定だったペットボトルの上部を切って、当面の水を雨水で確保することにした。


「さて、サバイバルの開始といきますか」




 ――そう。


 俺はこのとき何よりも『生』を実感し、リアルなドキドキとワクワク感を感じ始めていた。

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