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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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 工房で丸椅子にドカリと座り込み、腕を組んで完成形のイメージをしていると、秘書のメアリーさんが申し訳なさそうに入ってきた。


 工房で作業をしている時には極力人を近づけないようメアリーさんには言ってあるのだが、なにやら急ぎの要件があるらしい。



 聞けば今年も毎年恒例のランカスタ王国と北のハイランデル王国との戦争があるそうで、俺も貴族としての体裁を整えるため軍から誰でも良いので10名ほどの部隊を派遣してほしいとの依頼が王国軍からあったそう。



 戦争といってもセレモニーみたいなものらしく、毎年死人が出るようなところまではいかないそうなので、俺は司令官のジュノに人選は任せ王国軍の命令に従うようメアリーに指示したのだった。




 さて、気を取り直してベヒーモス素材での武器防具製作にとりかかるとしよう。


 ベヒーモスの素材を扱うには鍛冶レベル10が要求されるが、それは満たしている。だが問題は、そんな形式的なレベルは本質的なところじゃない。


 デザインや細かい意匠、どこにどの配分で金属とモンスター素材を使うのか? 製錬した金属の質もそう。


 俺の鍛冶職人としての力量が試されているのだ。




 さて、炉の温度が上がってきた。


 部屋がうだるような暑さだ。倒れないように塩を舐めつつ水を飲んで対策をする。


 それから、ベヒーモスの牙と爪を貴鉄と一緒に炉にくべ製錬をする。


 モンスター素材の武器防具製作は設計図を考えることと同じくらい、金属の製錬が肝となる。


 ハンマーを何度も何度も叩きつけては、不純物を取り除いていく。


 根気のいる作業だ。


 だが、鉄の呼吸を感じとり対話するのは嫌いじゃない。


 ハンマーをふるうたびに、心が澄んでいくのを感じる。



 まるで修行僧が瞑想をしているかのようだ。


 不意に、今はジェンダー的に絶対にNGなんだろうけど、“鍛冶場に女は入れるな、鉄が穢れる” というのが昔の鍛冶職人たちの常識だったとを思い出す。


 もしかするとそんな鍛冶職人たちの常識は、修行僧が俗世の煩悩を断ち切るために女人禁止とするのと似てるのかも。



 そして、次第にそんな余計なことも考えることもなくなり、腕の感覚もなくなってきた頃、鉄が紫紺色の魔力を帯びて輝きだした。



【獣竜鉄:魔獣竜ベヒーモスの牙と爪により強化された鉄。魔獣竜の攻撃力と防御力、魔力を備えた強力な金属】



 俺は新たな金属の開発に成功したのだった。

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