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色々と大変だった叙爵祝賀パーティが終わった翌日。
忙しくしようと思えばいくらでも忙しくできるけど、それでもどうにかして自分の時間を作るのが充実した人生を送るコツなんじゃないかと思う。
それは今までの経営者だろうが、お貴族さまになろうが変わらない。
そこそこに頑張るけど、ワーカーホリックにはならない。
家庭を顧みずにユリナさんに愛想を尽かされるなんて、真っ平御免である。
というわけで叙爵日の前後1日を祝日ということにして、お店はお休み。
試しに色々作りたいものもあるので、工房の方に一人で籠ることにしたよ。
一応店ドアの看板が裏返しになっているの確認していると、チャトラが最近手懐けたブルーウルフの子供ブルちゃん(雌)と一緒に店に出てきた。
「フア……、シャチョーオハヨウゴザイマス……」
「ワンワン!」
「仕事熱心なのはいいが、今日休みだぞ?」
一応聞いてみたけど、もちろんそんなことは百も承知で俺の新しい鍛冶仕事を見学させてくれとのことだった。
あとブルちゃん(雌)がチャトラにも懐いているのは、何と蒼の団の団員証(ブルーウルフの毛皮で作ったブレスレットにアッシュをトリミングした時に出た毛を縫い付けたもの)をしているとなぜかブルーウルフが従うという現象が確認でき、それをチャトラにつけさせたところ、アッシュとじゃれていたブルーウルフの子供がチャトラにべったりになってしまった、というわけだ。
その流れで、店の警備も兼ねてチャトラに親ウルフともども面倒を見てもらっている。
ちなみにブルーウルフはレスタ南門で兵士たちと一緒にモンスターと戦って以降、町の出入りはテイムモンスター登録をすればOKという扱いになっていたりもする。
さて、まずはその南門の戦でゲットしたコボルトキングの素材を使った武器防具を作ろう。
炉に火を入れモンスター素材や貴鉄インゴットを台の上に並べる俺を、チャトラと子ウルフのブルちゃん(雌)がキラキラした目で見つめている。
まずは素材の鑑定から。
【コボルトキングの牙:貴鉄と一緒に製錬することで、王鉄を得ることができる。取り扱い必要条件、鍛冶Lv7以上】
【コボルトキングの毛皮:衝撃耐性(中)、斬撃耐性(中)をもつ素材。取り扱い必要条件、鍛冶Lv7以上】
俺の鍛冶レベルは何だかんだあって現在Lv7だ。
炉の温度も丁度いい頃合いになったところで、貴鉄のインゴットとコボルトキングの牙を投入。
二つとも赤熱したところで、二つの素材を合わせて製錬してみた。
カンカンカン ジュワー
【王鉄:貴鉄をコボルトキングの牙と一緒に製錬した、威圧の魔力を秘めた強力な金属】
この王鉄をまずは俺に必要な分だけ作った。
それをロングソードや盾、鎧などの防具に整形していく。
「おいチャトラ、見てないで手伝え」
「ハイ!!」
俺は作ったものや素材の整理整頓をチャトラに任せ、まだ作りが粗く不満足なところを整えていった。
その結果できたのが。
【コボルトキングソード:敵対する者に威圧(士気低下)の効果。攻撃力87】
【コボルトキングバックラー:衝撃耐性(中)、斬撃耐性(中)、火耐性(小)。防御力54】
【コボルトキングアーマー:王鉄製の鎧。衝撃耐性(中)、斬撃耐性(中)、火耐性(小)。防御力75】
【コボルトキングガントレット:王鉄製のガントレット。衝撃耐性(中)、斬撃耐性(中)、火耐性(小)。防御力45】
【コボルトキンググリーブ:王鉄製のグリーブ。衝撃耐性(中)、斬撃耐性(中)、火耐性(小)。防御力56】
『個体名:奥田圭吾は鍛冶Lv8を取得しました』
『個体名:奥田圭吾は鍛冶Lv9を取得しました』
『個体名:奥田圭吾は鍛冶Lv10を取得しました』
今まで使い込んできたヘルファイアソードが攻撃力25、ヘルハウンドバックラーが防御力16。
マルゴから購入したライトアーマーやライトガントレット、ライトグリーブを金属で補強した装備の合計が37なので、比べればどれだけ強いのかがわかる。
あとはマーマンの鱗を砕いてフェムト研磨石と混ぜてブラッシングし、火耐性(小)をつけておいたのだった。




