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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-212

 雑貨店「子狼のまえかけ」の完成祝いをした翌日。


 売る予定だった目玉商品が無くなってしまったこともあり、商品を作ったり陳列したりなど、開店準備をして過ごすことにした。


 店をオープンする前に工房で実際に作業して使用感を確認しておかないと、いざ不具合があったときに恥をかくからね。


 ということで、工房の機能面を監修してくれたマルゴにも立ち会ってもらった。




 工房の炉に火を入れ黙々と「湧き水くんβ」と「ポカポカくんα」を作っていると、陳列棚の飾りつけをしていたユリナさんが俺を呼びに来た。


 なんでも徴税官が来ているのだそうだ。



「徴税って、まだ開店すらしていないんだが……」



 疑問に思いながら徴税官殿が待っている応接スペースに行ってみて驚いた。



 そこにはフランス人形のような美しい、ブロンドの美少女がいた。



「え、この娘?」


「エエ……」



 とユリナさん。


 そして立ち上がって胸の前で手を組みこちらに笑顔を向ける少女に、ランカスタ語で「コンニチハ」挨拶した。


 この娘はシャーロットさんという名前で、教会のシスター兼、徴税官兼、異端審問官と自己紹介された。


 手を差し出されたので握手を交わし、俺も「ケイゴオクダといいます、この店の店主です」と返しておいた。



 可憐な笑顔を浮かべるシャーロットさんに見惚れていると、ユリナさんの咳払いで我に返った。


 ユリナさんを横目でチラッと見ると、ゴゴゴゴゴという効果音をバックに笑顔を浮かべているが、明らかに目が笑っていないというサラサがマルゴに対してよくする類の表情をしていた。


 タラリ……。



『個体名:ケイゴオクダは精神恐怖耐性Lv1を取得しました』



 何もこんな状況で取得せんでもよいだろうに……。まあ、それだけ俺はユリナさんを失うことが恐怖なんだろう。


 女性絡みのトラブルは夫婦の危機。気をつけよう。



 それから俺は、そんな情けない心の内を隠しつつシャーロットさんに来訪の理由を尋ねることにした。



「で、今日はどのようなご用件で?」


「……××〇〇■×」



 シャーロットさんは二つの要求をしてきた。



 一つ、所得に対する課税とは別に、出店税金貨10枚の支払い。

 二つ、彼女の所属するゼラリオン教の教会への寄付と入信(こちらは任意)。



 ただ、寄付や入信しないで後々面倒になるのは嫌だな……。


 とは言え、軽い寄付くらいなら面倒もないだろうが、入信となるとあれこれ要求されそうだよなあ。



「なるほど……。税金は収めますが、教会への入信はまた検討させてください。もちろん寄付はさせていただきます」



 そう言った俺は、金貨袋から寄付分と一緒に金貨11枚をテーブルの上に置き渡した。


 すると金貨の寄付に気を良くしたシャーロットさんは、胸の前でロザリオ的なものをつかみ聖印を切り、「神の御加護を」的な祈りを捧げてくれた。


 というか彼女が身に着けているロザリオ的なものは、ハインリッヒが置いて行ったものと酷似していた。


 あの即物的な男が意外だな、と思った。



 それから彼女とはハインリッヒのことを話したり、教会が行っている慈善活動の内容について話したりと世間話をした後お帰りいただいた。


 税務署の人のご機嫌はとっておくに限る。商売の鉄則である。



 マルゴが出てこないなと思いその後聞いてみると、先ほどのシスター様は異端審問官、徴税官としてはかなり「優秀」らしく、町民に恐れられているのだそうだ。



 それを聞いた俺は、寄付や入信を真正面から断らなくて良かったと安堵したのだった。



 なお、シャーロットさんに見惚れたことでユリナさんの機嫌が急降下していることに、俺は全く気が付いていなかった。

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