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「さて、行くか」
馬車にユリナさんとアッシュが乗り込んだのを確認し、戸締りをチェック。鉄製の門に鍵をかけた。
今日は久しぶりにレスタの町に出かけ、マルゴにレスタに移住することを相談をしようと思っている。
ユリナさんに伝えたところ、彼女はジョセフィーヌさんや友人たちといつでも会えることを喜んでいた。
妻の機嫌に勝るものはない。それだけでも移住の選択に間違いはないと思った。
いつものように門衛のおじさんに挨拶して門をくぐる。
門衛のおっちゃんに火属性付与式温熱ポットに入れたホットワイン(ミランの果実酒を温めたもの)を木のコップに入れて渡してあげたら、顔をほころばせて喜んでくれた。
寒い中、本当にご苦労様です。
それから、寄り道せずにマルゴの店に直行した。
マルゴの店に入ると丁度顔見知りの冒険者と商談中だったようで、待つ。俺の卸したウォーターダガーの取引で価格交渉をしているようだった。
俺に気づいたマルゴは手を上げて、ちょっと待てのジェスチャー。
仕方ないので俺とアッシュを抱っこしたユリナさんはその辺の丸椅子に腰かけて待つことにする。
「ずいぶん儲かっているみたいだな……」
こうやって作ったものを誰かに売るにも手間だったり、場所だったりとコストがかかる。
だが、自分でレスタの町に住むとなると話は変わってくる。
「どうせ住むなら店でも作るかな」
そんなことを考えていたら、商談が終わったようだった。
「スマン、ドウシタ?」
客が帰った後、俺たちに声をかけるマルゴ。
「マルゴ、相談があるんだ」
そして俺はマルゴに考えていたレスタへの移住の件を相談することにした。
一通り話終えるとマルゴは途端に上機嫌になり、店の看板をCLOSEに裏返した。酒瓶まで持ち出してきたので、ストップをかける俺。
この店、大丈夫か? って、これデジャヴだ。
マルゴが言うにはレスタで商売をするなら商業ギルドへ登録する必要があるそうだ。
サラサの親父さんが商業ギルド長をしているので口を聞いてもらうのと、ついでに物件の紹介もしてもらえばいいとのことだった。
それからサラサと合流した俺、マルゴ、ユリナさん(と抱っこされたアッシュ)は、天秤と金貨袋が目印の商業ギルドのドアをくぐったのだった。




