k-171
パープルタランチュラを解体すると、毒腺と糸の他、全身についた棘を飛ばすための射出用の爆薬が手に入った。
こいつらは体の中で毒だけではなく、爆薬まで生成できるらしい。爆薬とは物騒だけど、何に使えるかはわからないので採っておいた。
俺は、ユリナさんの看病を続けていたが、薪割りもモンスター素材の回収も終えてしまっていたので、手持ち無沙汰だっだ。
そこで、手に入ったパープルタランチュラの素材で何かを作ってみることにした。
まずは毒から。
パープルタランチュラの毒腺をドヌール毒にさらに追加して混ぜ込んでみる。すると。
【タランティン激毒:蜘蛛毒を強化したこの世のものとは思えないほど強力な毒物。大抵の生物は一瞬で死滅する。必要毒耐性レベル8】
相当ヤバイのができたようだ。ドヌール毒で確かレベル7だったので、その強力度合い解るというもの。
俺はいざという時のための数本だけ矢に浸し毒矢を作っておいた。
あとは貴族とのいざこざ中なので、嫌だけど対人戦があるかもしれない。人を殺傷しない武器も持っておきたい。うーん、何かいい案はないものか。
とちょうど冬で木から大量に落ちたカサカサの木の実が目に入る。アレを使えば……。
俺は枯れ果てた木の実を拾い、中身をくり抜いて薄い皮だけの状態に。
それからパープルタランチュラから取り出した、【蜘蛛爆薬:衝撃を与えると爆発する】を紙に包んで木の実の中心に置き、グリーネ麻痺草を乾燥させて粉末にしたものと小麦粉を混ぜたものを爆薬の周りに敷き詰め、樹脂でくり抜いた木の実の皮を接合し完成。
お手製麻痺手榴弾の完成だ。
同じ要領で麻痺粉の代わりに蜘蛛糸を絡まないようにほぐして敷き詰めてみた。こちらはお手製蜘蛛糸手榴弾とでも名付けることにしよう。
試しに両方樹木に投げてみたが、樹木にぶつかった衝撃で手榴弾は爆発。
麻痺手榴弾はいい感じに粉煙を巻き上げたので、こっちに流れてこないようウインドを使って防御。
蜘蛛糸手榴弾は爆発ともに蜘蛛糸が木にべったりとこびり付いた。これなら人間一人の身動きを封じることができそうだ。
麻痺と蜘蛛糸の手榴弾は敵に投げつけるだけの単純なものなので、ユリナさんでも使える。
毒を使わない分、食糧確保のための狩に有用なのも嬉しい。
ユリナさんの病気が治ったら護身用に彼女にも使い方を教えよう。
「さて。そろそろ飯でも作ろう」
一通りパープルタランチュラの素材で新しい武器を作った俺は、再びユリナさんの看病に戻ったのだった。




