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【書籍化・コミカライズ化】商社マンの異世界サバイバル ~絶対人とはつるまねえ~  作者: 餡乃雲(あんのうん)


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k-135

 翌朝、奥田圭吾のモーニングルーティーン。


 石壁の内側でいつも通りの鍛錬を行う。体術の型から入り的に足刀蹴を放つ。続いて魔法の鍛錬。これまで覚えた初級魔法を発動させていく。


 そうしているとアッシュがうなるので、何事かと石壁の外を警戒。壁の外側を赤色の熊モンスターがうろついていた。直ちに鑑定。



【レッドグリズリー:熊型の魔獣。秋にのみ出現する、熊の体毛が赤く、火属性に変異したレアモンスター】



 紅葉みたいなモンスターだな。


 俺は石壁に備え付けてあるボウガンを立て続けに連射、最後に眉間を貫いて倒すことができた。



『個体名:奥田圭吾はLv16になりました。体力34→36、魔力24→26、気力28→30、力38→40、知能80→82、器用さ38→40、素早さ37→40』


 もう16レベルになったか。



 11:00

 昼前。解体したレッドグリズリーの熊肉を薄くスライスし熊鍋にしてみた。ハーブ鶏のとき卵ですき焼き風にして食す。美味い。


 野性味溢れる味も、調理方法によってかなりマイルドな味わいになるものだとわかった。


 赤熊を解体していて一つ気になるものを得た。


 【レッドグリズリーの睾丸:強力な滋養強壮効果。回復薬の材料となる】


 熊のキン◯マは錬金術の材料になるようだ。試しに俺は、イレーヌ薬草と一緒に熊のキン◯マを一緒に煮詰めてみることにした。


 飲みたくはない。けど鑑定結果にこう書いてある以上、試さないわけにはいかないからな。そうして出来上がったものを鑑定。


【エギルの回復ポーション:体力回復(大)、部位欠損修復】


 何やら凄そうなアイテムができた。材料がアレだけにあまり飲みたいとは思わないが、回復効果は今までの中では最高だろう。


『個体名、奥田圭吾は錬金術Lv7を取得しました』


 ふと思うことがある。


「昨日ちょっとデカイ熊に襲われたけどボウガンで返り討ちにしてさあ〜、解体してすき焼きにして食ったんだよね〜」


 日本で勤めていた会社でこのセリフを吐いたらどうなるだろうか。実は俺、結構凄いことをしているのかもしれない。


 17:00

 夕方、レッドグリズリーの毛皮をなめしているとジュノとエルザがやってきた。この二人だけで来るのは初めてだな。


 せっかくなので二人にレッドグリズリーの熊鍋をふるまうことにした。


 夜は少し冷えるが、焚き火を囲んで鍋をするにはむしろ雰囲気が出て丁度良い。


 俺は二人とジェスチャーを交えて会話しつつ熊鍋を作った。うん丁度いい感じに煮えてきた。その傍らアイスの魔法でキンキンに冷やしたコップにエールを入れて出す。ユリナさんに教えてもらったアイスの魔法は氷を作り出すだけではなく、対象物を凍らせる使い方もできることが色々試していてわかった。


 二人ともやはり片言の言葉しか通じない。だがそれが丁度良い距離感を保ってくれえる。無遠慮な質問をダイレクトに受けることもないし、俺の方も言葉のチョイスで変に気を使いすぎることもないので、疲れない。つまり酒に酔って何を口走っても問題ないということ。


 今日も飲むぞ!


 あの後、俺がユリナさんに会いに行っていることはこの二人も知っているようだった。


 ジュノとエルザはユリナさんとのことを聞いているようだったが、俺は言葉がわからないというジェスチャーで誤魔化した。言葉がわからないというのは非常に便利だ。


 ユリナさんとのことについて二人はそれ以上何も聞かないでいてくれた。


 エルザはお酒が飲めないようなのでオレンジジュースに似たルミーの果実ジュースを出してあげた。


 ジュノと俺は美味い熊鍋を肴にガンガン酒を飲むものだから、エルザが少し呆れていた。


 エルザはアッシュが気に入ったようで、抱っこしたり、お手したり、バーンしたり、おやつをあげたりとずっと構って遊んでくれた。アッシュも嬉しそうだ。


 おやつはアツアツの熊肉で、エルザは赤ちゃん言葉になりながらフーフーして食べさせていた。異世界語ではあるんだけど顔がニヤけて甘い声になっていたので、明らかに赤ちゃん言葉になっているのがわかった。


 小動物を目の前にした時の反応というのは全世界共通のようだな。


 ……


 虫の音も、こちらの世界に来た当初の夏っぽいそれとは異なってきた。これがこの世界での、冬の足音というやつなのだろうか。


 小屋近くに生えた木々の葉も、赤や黄色と彩りを深めてきている。そんな景色を見ていると、ついついホクホクの石焼き芋でも食べたい気分になる。


 今現在、季節はおそらく秋。


 寒空の中焚き火にあたりながら友人と過ごす夜はとても楽しいものだった。

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