k-118
俺は、ダンにスキルの相談をする前に、そもそもサーペントがまた俺の家を襲ってきたことに対して何かしなければと思っていた。2度あることは3度ある。
ダンジョンオーバーフローが始まりモンスターの大群に町が襲われると大変だということで前回ダンジョン攻略レイドが組まれたのだけど、高い壁で守られた町で大変なら、一人で暮らす俺の家はどうなってしまうのか、という話だ。
今回は一匹だけだったので俺がたまたま討伐できたけど、これがレイドを組んでどうにか討伐できるレバルの大群だったとしたら、それはもはや俺にどうこうできるレベルではなくなってしまう。
というわけで、こういう時のための冒険者ギルド。金は大切だけど、あの世まではもっていけないからな。ここは気前よく払おう。
俺はサーペントに対する討伐報奨として金貨30枚をダンに預け、間引いてもらうことにした。
続いて、自分のスキルについてダンに相談することにした。
まず第一に、このままギルドポイントをため、風魔法のより上位のスキルを取得すること。前に風魔法をぶっ放してサーペントを討伐した魔法使いを見たけど、あのレベルの魔法が使えたら戦闘はかなり楽になるだろう。
なのでギルドポイントを貯めるため、このまま修行と討伐を続けるというのもありかもしれない。
第二に物理攻撃、防御スキルをのばす。第二スキルは100ポイント、第三スキルは500ポイントとなるそうだ。
第二スキルは現状で手が届く。
第三に他の基礎魔法を覚える。
150ポイントで取得可能だ。かつ基礎魔法のレベルがそのまま同系統上位魔法の取得条件になっている。
それにウインドがサーペント対策になったように、基礎魔法も場合によっては使える可能性がある。それに基礎魔法はウィンドがそうであるように、普段の生活をより便利なものにしてくれる。火、水、土、風、土、闇、光の基礎属性魔法。闇以外は、どの属性でも今後のサバイバルライフに大いに貢献してくれるに違いない。
俺は悩んだ末、光属性の基礎魔法を150ポイントで取得することにした。
俺はダンにその旨を伝え、ギルドカードを水晶にかざすとギルドポイントの表示が19ポイントに減った。
15:00
それから俺は、もはや見慣れたスキル修練用の道場に案内された。そこではハン先生が既に俺を待っていた。
俺はランカスタ語で「ヨロシク」と挨拶し、会釈をした。ハン先生は不器用に鼻を鳴らすだけだった。
そして、ハン先生の修行が始まった。
「×△!」
ハン先生が短く呪文を唱えると、光の玉が木の的に一直線に飛んでいきヒット。辺り一面に光が溢れた。
これが、光系統の基礎魔法か。
ハン先生がやってみろというので、ランカスタ語の短い呪文を何度も反復して覚え、先ほどの光球のイメージを頭に浮かべる。
そして、魔力の流れを意識する。
2時間ほど練習したところで、ようやく俺の手から光の玉が出た。
ヒョロヒョロと的の方に飛んでいき、到達する前にはじけて消えた。まるでシャボン玉か何かのようだ。しょっぱいな。
『個体名:奥田圭吾は魔法:ライトLv1を取得しました』
しばらくは練習しなきゃだな。
ハン先生は左手にもつ杖で地面を打ち鳴らしながら、ランカスタ語で「オメデトウ」と言ってくれた。
俺は先生の空いている右手の方を握り「アリガトウ」と挨拶した後、修練上を後にしたのだった。