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k-111

 10:00

 家畜へのエサやり、鍛錬などの日課を終えた俺は、今日は川で釣りをしようと決めた。


 空の浴槽、魚を入れる用の桶、スコップなどを荷台に積み込む。食料は干し肉やパン、ウォーターダガー水筒をもっていく。


 釣り道具は俺が趣味で買ってあったものが農具小屋に死蔵していたので、それを使う。


 リールや重石、針が数本ついている。一万円くらいの安物である。


 畑作業でミミズは沢山見ているので、釣りエサは現地調達で良いだろう。


 モンスターが出るかもしれないので、装備は整えておく。


 さて、出発だ。アッシュを抱っこして馬車に乗せる。ロシナンテ(馬)がブルルと鼻を鳴らした。パッカパッカ。




 のどかな草原をあくび混じりにゆっくりと進み、ようやく川に到着する。


 見渡す限りモンスターはいない。


 川は大自然の中にあるだけあって、とても綺麗だ。水は透き通っていて魚が鮮明に見える。


 俺はその辺りを適当にスコップで掘り返し、ミミズを調達。


 針にミミズをつけて川に糸を垂らした。


 アッシュが、ヒラヒラ飛んでいるチョウチョをピョンピョン追いかけている。


 俺は、川がさらさらと流れる音を聞きながら日向ぼっこをしていた。


 このままだと寝落ちしてしまいそうなので、干し肉をクチャクチャと噛む。脳に刺激を与えれば少しはマシだろう。


 干し肉を噛んでいると、アッシュが俺のとなりでお座りしていたので、お手とおかわりをさせてから、干し肉をあげた。


 竿の先端にトンボのようだがそうではない不思議な虫がとまっていたが、竿がぐいと引かれ、昆虫は飛び去っていった。


 俺はリールを巻きつつ、竿を引き鮎っぽい美味そうな魚を釣り上げた。桶に川の水と釣り上げた鮎っぽい魚……を入れた。


 三枚におろして刺身で食べるか、ワイルドに焚き火で塩焼きにするか迷うところだな。


 俺は口の中にじゅるりとよだれが沸いてくるのを感じた。この調子でどんどん釣っていこう。


 三時間くらい釣りをして、鮎っぽい魚が20匹ほど釣れた。


 多分鮎ではない何かの魚だとは思うが。鮎を鑑定してみると、【トゥカリュス:清流に生息するとても美味しい魚。生息域には人体に有害な寄生虫もいないため、刺身で食べることもできる】と出た。


 食べることができる魚のようだ。トゥカリュスか。不思議な名前の魚だ。


 俺は浴槽に川の水を張った後、家に帰ることにした。



 17:00

 家に帰ると、マルゴとサラサ、ジュノが来ていた。彼らの荷馬車には色々と食料やら酒やらが積んであった。ありがたいことだ。


 俺は軽く手を上げて彼らに挨拶した後、風呂を沸かしつつ鮎を調理することにした。


 まずは木の枝をナイフで削り、新鮮なトゥカリュスを串刺しにする。


 塩とおろしニンニクをすり込んで、焚き火で焼く。焼くのは風呂に入った後にしよう。


 次に生きているトゥカリュスの頭を切り落とし、内臓を取り水流で洗い流しながら、三枚におろして刺身にする。


 北海道で田舎暮らしをしていた時、渓流釣りの鮎を捌いて食べた経験が生きてよかった。塩をつけて食べるとしよう。


 やっぱり醤油が欲しい。自作できないかな。



 18:00

 俺たち四人と一匹はザブンとやり体中の凝りをほぐした。サラサはアッシュと一緒に入ると言って譲らなかった。


 鮎っぽい魚のトゥカリュスは本当に美味かった。刺身も焼き物も絶品だった。エールを飲みながら食べるのが良い。


 マルゴ、サラサ、ジュノはトゥカリュスの刺身を食べて衝撃を受けた顔をした。だが結局いつもの通り、ドンチャン騒ぎの宴会になった。


 サラサがマルゴにアーンとトゥカリュスの刺身を食べさせていて、口の中から砂糖がザラザラ出てくるかと思った。


 ふとジュノを見ると、死んだ魚の目になっていたので、活きの良いトゥカリュスの刺身をすすめてあげた。


 こうして、楽しい夜は更けていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] うっ。。。重い女…百年の恋も醒める。 友人達の前でつきあってもいない女にア~ンされたら本当にNG。
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