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k-91

 翌朝、鍛錬を終え朝飯を食べていたら、ゾロゾロと人がやってきた。


 前回のダンジョン攻略の面々である。俺は、平常心を装い笑顔で出迎える。


 あ、ポーションを買いに来たんですね! お買い上げありがとうございます!


 マルゴとジュノが無表情なのが怖い。


 人って、本気で怒ったときは無表情になるもんだよね。昨日の今日なので急に召集でもされたのだろう。でなければ俺に一言あったはずだ。


 サラサも同行していて、物凄く心配そうな顔をしている。


 アホ貴族さまは素敵な笑顔で馬から颯爽と降り、俺の肩を右手でガシッっとつかみ「頼むぞ」的なことを言った。


 俺は涙目になった。俺の頭の中に、またしても「あーるはれたー、ひーるさがりー」と例のドナドナが無限リピートされ始めた時。


 事件は起きた。



 スパーン! プッシャー!



 アホ貴族さまの右腕が根元から千切れ飛んだ。余りに突然のことで、何が起こったか解らなかった。噴出す鮮血。血で真っ赤に染まる俺。俺の意識はフリーズした。



 グルルアアアア!



 空中にでかい羽の生えたトカゲがホバリングして咆哮していた。



 ぎゃああああああ!



 俺は恐慌状態に陥った。


 俺は近くにいたアッシュを抱え込み、切り株椅子に立て掛けていた盾を空飛ぶトカゲの方に向けフォートレスを発動。


 俺は、盾の中で体を小さくした。どうか俺に気がつきませんように!


 ジュノがサラサの手を引いて、鍛冶小屋の中に避難させていた。


 アホ貴族さまは無双5人衆のヒーラーさんに止血してもらっていた。


 無双5人衆の中で、ギルドマスター、カイ先生、タンクさん、魔法使いが空飛ぶトカゲに攻撃を仕掛けていた。もうこれ怪獣大戦争レベルだろ。



 俺は盾の中で縮こまり、アッシュを抱えガタガタ震えていた。



 物凄い音量の咆哮、怒声、轟音が響き渡っている。俺は盾からそっと顔を出し、チラっと見ると、竜巻魔法が空飛ぶトカゲに直撃し、傷を負った竜が逃げていくところだった。


 負傷者は多数出たものの、死んだ者はいないようだった。


 マルゴ、ジュノ、サラサも無事だった。


 俺は空飛ぶトカゲが立ち去ったことを確認すると、生存している怪我人にポーションを飲ませていった。


 アホ貴族さまは何とか一命を取り留めていたが、真っ青な顔をして放心状態になっている。俺は仏心でアホ貴族さまにもポーションを飲ませてあげた。


 俺の家の周りが滅茶苦茶だ。畑も一部駄目になっている。しかし、命が助かっただけ御の字と考えるべきだろう。


 傷の手当が一通り終わった後、ギルドマスターの判断で撤退することになったようだ。



 アホ貴族さまを乗せた荷馬車を囲むようにして、ダンジョン攻略隊はレスタの町へと帰っていったのだった。

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