何気ない、いつもの日常
叶えたい願いがありますか。
それはあなたの命を懸けてでもかなえたいものですか。
命を懸けてでもかなえたいものならば……
ピピピピピ ピピピピピ―――
「朝か…」
私は目覚ましの音で目が覚めた。
すぐさまそばにあった目覚ましを止め、起き上がる。
ベットから降りて、そのまま部屋を出る。
階段を降り、洗面所へ向かい、顔を洗う。
そのあと、リビングへ入っていく。
「おはよう、香織。」
「おはよう、お母さん。」
「おはよう、眠そうだな香織。」
「お父さんもおはよう。」
「早く寝なかったの?」
お母さんが朝食を運びながら、そう問いかけてくる。
「だって、ゲームをいいところまで進めたかったんだもん。」
「ゲームもいいけど、勉強もちゃんとしなさいよね。」
「はぁい」
私は自分の席に着き、朝食を食べ始める。
今日の朝食はトーストにコーンスープとサラダだ。
朝食を食べ終わると、歯磨きをしてから部屋に戻り、制服に着替える。
高校1年生になってから、もう何日もたつ。
だいぶ着慣れてきたと思う。
鞄を持って玄関に行くと、お母さんがすでにお弁当を持って待っていた。
「いってらっしゃい。はい、これ今日のお弁当。」
「ありがとう。行ってきます。」
お父さんはすでに出かけたようだった。
私も玄関の扉を開け、家を出た。
通学路には、これと言って特徴になるものもなく、いつも通り学校についた。
教室の自分の席に着く。
荷ほどきをしていると、隣の席の友達が話しかけてきた。
「おはよう、香織ちゃん!」
「おはよう、藍ちゃん」
隣の席の三好 藍ちゃんだ。
以前は三好さんと呼んでいたのだけど、押しに弱い私は彼女のことを藍ちゃんと呼ぶようになった。
「ねえ、昨日の「神しあ」見た?!もー、すごかったよね。絵がきれいなのは当然なんだけど、戦闘シーン、グラフィックやばいし、話知ってるはずなのにめちゃくちゃ感動したー!!」
「うん、戦闘シーン本当にすごかったよね。私も知ってる話なのにやっぱりアニメで動いてるの見るのは別格だね。」
「だよね!はぁ、来週が楽しみー!」
「神しあ」。
「神さまのいちばん、しあわせになるお話。」
私たちが友達になるきっかけになった小説だ。
現在は漫画化、アニメ化もした人気作品になっている。
アニメが放送されてから、毎週木曜日はいつもこの話を朝している。
藍ちゃんも私も、いわゆるオタクだ。
でも、だからって隠してるわけでもなく、まあ大っぴらにしているわけでもない。
知ってる人は普通に知っている、というスタンスだ。
キーンコーンカーンコーン
「あっ、チャイムが鳴っちゃった。また後で続き話そうね!」
「うん。」
ガラガラガラ
「全員席につけー!ホームルーム始めるぞー」
ドアを開いて担任が入ってくる。
今日もいつも通りの一日が始まった。
放課後、私はいつも図書室に行く。
図書室の中の窓際の席がいつもの定位置だ。
「お待たせー。日直の仕事ちょっと長引いちゃった。」
「いいよ、本読んで待ってたし。」
藍ちゃんも合流して、私たちは一緒に宿題を始める。
いつもは一緒に図書室に来るが、今日は藍ちゃんが日直だったのだ。
宿題が終わると、私たちは図書室を出て帰路につく。
いつもの分かれ道で、藍ちゃんと別れる。
「じゃあまた明日!」
「うん、またね。」
家に着くと、いつも通りゲームやアニメ、漫画を見て、晩ご飯の準備の時間になったらお母さんの手伝いをして、ご飯を食べる。
学校であった話とかをして、ゆったりした後、お風呂に入り、部屋に戻る。
寝る前にゲームをして、眠りにつく。
そうやって、いつもの一日が終わる。
何気ない一日。
平和な一日。
―――だけど、私は消え去りたい。