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そして私が忘れていくように

作者: 武田道子
掲載日:2022/02/13

そして私が忘れていくように





そして私が忘れていくように

私も忘れられていくのだろう

楽しかったことも

悲しかったことも

水に溶かした絵の具のように

色をなくしどんな色をしていたかも

定かではなくなり

やがて透明になっていく




薄れていく記憶の中で

浮かび上がる思い出

一瞬花火のように輝いた後に

まぶたの裏にわずかに幻影だけを残して

ゆっくりと消えていく




一つ、二つ、

拾い上げる思い出は

陽炎になって燃え上がる

道の先でゆらゆらと

届きそうで、触れることができそうで

だから私は立ち止まる

崩れていく思い出を掻き抱き

決して放さないように

きつく抱きしめるために




ふらりふらりの天井から

飛び立つことを許されない折鶴が

(くう)をさまよっている

もうずっと前に逝った人を

追いかけることもできないで

天井と向こうの境目は屋根一枚

眠りの中に落ちていく思い出が

いたわるように

眠りの淵で少しだけ見せてくれる

忘れることは許される

忘れられることを受け止める



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