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妖精に育てられた魔法使い  作者: こ~りん
三章:魔導院入学試験
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閑話:実技試験の裏側で

 実技試験は試験官によって難易度が変わる。すぐに終わる場合もあれば、時間が掛かる場合もある。

 男の場合は後者だ。とても時間が掛かる難しい実技試験となる。


「――私がですか……」


 入学試験が始まる前日、男は実技試験を担当して欲しいと頼まれていた。特に差し迫った用事も無いため、男は渋々それを受け入れたのだった。


「(面倒ですね……ですが後輩のため、適当にやるわけにはいきませんし……)」

「お、フェスじゃないか。実技試験の試験官やるんだってな」

「ああ、成り行きで……」

「相変わらず面倒くさそうな態度だな」

「面倒なのは事実ですから……」


 フェスと呼ばれた男は、実技試験の準備のため訪れた施設で知り合いと出会った。ちなみに、フェスというのはあだ名である。


「あなたはたしか……」

「一次面接の担当だな。ま、適任だろうよ」

「ですね……」




 準備を終えて当日、フェスは実技試験を受ける受験者達の用紙を眺めていた。

 受験者の中には推薦状を提出している者もいるが、フェスはその中でもある二人に注目していた。


「(“無尽卿”からの推薦状……幻想魔法を扱えるリアムと……複合魔眼を持つフローディアですか……)」


 類稀なる“無尽卿”と称される魔導師からの推薦状で受験したこの二人に、フェスは興味が沸いたのだ。

 しかも、どちらも珍しいものを持っている。


 人には扱えないはずの幻想魔法を扱える魔法使いは、恐らくこのリアムが史上初だろう。

 フローディアの持つ複合魔眼も、空間視と未来視の二つの効果を併せ持っている。


「(面白くなりそうですね……)」


 そして試験の時がやってきた。

 もちろん審査は公平に行う。だが、公平に行った上での結果、リアムとフローディアが飛び抜けて高くなった。

 彼ら以外にも有望そうな魔法使いはいるが、やはりこの二人は別格だとフェスは感じる。




 二段階目の対人試験では、つい手加減を緩めてしまった。〈死の鎌(ファルクス・モラウ)〉という上位の魔法と、〈人を殺す魔法(インテルフィケレ)〉という戦争用の魔法を放ったのだ。

 リアムは見事それを躱し、しかもフェスに一撃を与えた。

 手加減していたとはいえ、これは素晴らしいことである。魔導院の中で研鑽を積み、研究員の地位を与えられたフェスに一撃を与えたのだから。


 三段階目の試験はまだ途中だが、あの二人なら問題なく突破できるだろうとフェスは思う。


「――はい、確認しました……。では結果が出るまでお待ちください……」


 しかし同時に、ミニゴーレムやキラーマウスなどの、特に狩りやすい魔物の素材を取ってきた受験者達を確認しつつ、フェスは早く終わってくれないかなと思い始めた。

 道具は渡したが、それを使わずとも手軽に狩る方法はあるのだから。


「(まあ、方法はどうでもいいんですけどね……あと五人ですか……)」


 開始して数時間、探索を終えて戻ってきた受験者はかなり増え、残りはリアムとフローディアを含む五人となった。

 一体どんな素材を持ってくるか……楽しみにしつつ、やはり面倒だとも感じて待ち続けるフェスであった。

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