八話 ……ま、難しいことはいいや
久しぶりに二連休だったので投稿しますね。短いです
「……おかしい。絶対におかしいぞ。俺たちの今日のアレはなんだったんだ」
俺は宿の自室で唸り声を出していた。
あの後だが、ボスを倒したことによってダンジョン特有の宝箱が出現した。その中身はボスであるキングタウロスの角だった。まあ、素材としては普通、らしい。あれだけの強さの魔物だったのに? なんて思ったが、素材屋がそういうんだからそうなんだろう。
そしてパーティーメンバーに一旦解散の旨と2日間休日を挟むということを伝えた。何故か他のメンバーに笑われたが、体のコンディションは大事だろ!
そうして俺は自室に篭って唸りながら考え事だ。
明らかにおかしいのは俺たちの強さと、ボスの強さだ。三つ目のダンジョンにしてはボスの戦闘力が跳ね上がっていた。最も、あの時の俺たちも相当おかしかった。 みんなが使用していたあの数々の技、魔法の威力、そして武器。アレらの殆どはゲームでは中盤以降で手に入れることが出来る力だ。
「どうなってるんだ……」
何かがおかしい。あの時の俺たちは何かに操られていた気がする。
「ま、色々考えるのも疲れるから、モグ、息抜きも必要だよな、モグ」
正直、強いからって問題あるのか? 否、問題なし。
何か不都合があるなら早急に解決しないといけないが……ま、大丈夫だろう。
「おっちゃん! 串焼きもう一本。うまいわコレ」
「あいよ!」
この屋台の串焼き美味いから、次から通うことにしよう。
串焼きを平らげた俺は散歩がてら勇者であるミレスの様子を見に行くことにした。
日にちはズレたが、ゲーム通りならミレスはあの三つ目のダンジョンで勇者として覚醒しているはずだ。
「確かミレスの家はここらだったよな…」
記憶を辿り、街の北部に足を運ぶ。この街はそこそこ広く、一応貧富の差が出ないように領主が努力していたはずだ。まあ、それでも多少はあるのだが。
「少し、治安が悪そうだな。ゲームの時はまじまじと見てなかったけど、リアルだとこんなもんか」
少し寂れた家々が並ぶ道を俺は少しだけ警戒しつつ、歩いて行く。
「ここ、だよな?」
一言で表すなら、ボロい一階建ての家だ。経年劣化なのか、壁の塗装は剥がれ落ち窓のガラスも汚れているように見える。ただ、その家の入り口の扉だけは綺麗に見える。
コンコン、と扉をノックする。数秒後に「はーい」という高い声がくぐもって聞こえてきた。
ミレスじゃないな。もしかして妹だろうか?
扉を開けてくれたのは、ミレスによく似た髪色をした少女だった。
「えっと……どちらさまでしょうか?」
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