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七話 ゲームと少し違うけど、まあいいか

長引かせたくなかったので…

本日2回目の投稿です。

「《ヒーリング》」


俺はすぐさまガルッゾに回復魔法を使用。キングタウロス()はこちらを睨んだまま動こうとはしていない。警戒しているのか?


「……ガルッゾ、いけるか?」


「うぅむ。レイジの回復魔法で体の痛みはマシになったが……盾が壊れそうじゃ」


ガルッゾは奴に警戒の目を向けながら盾の前面をこちらに向けてくる。鉄で覆われている表面に真っ直ぐな大きな傷がついていた。割れてはいないが……そう何度も攻撃に耐えれるとは思えない。


「予備はないか?」


「そもそもワシは盾を好かん。守るより先に殺せば良いじゃろうに」


重戦士の言葉じゃねぇ。と口には出さないがそう思った。その考えは今後正すとして……


「ユーシィ、みんなに補助魔法をかけなおしてくれ」


「わ、わかった! ……それとさっきの《ウインド》だけど」


「ああ、助かったよ」


さっきから不安そうな顔をしていたが、勝手に攻撃魔法を使ったのを気にしていたようだった。


俺の感謝なユーシィは目に見えて喜び、補助魔法を詠唱した。


「マリアもいい攻撃だった。次も頼むぞ」


「……」


ふんす!と鼻息が漏れているので、やる気は十分のようだ。


俺も自分の武器の状態を確認し、まだいけると判断した。


「さて……俺が教えた陣形を基本として、さっきみたいに臨機応変に行くぞ。どうやら奴はお怒りのようだからな」


「ブフゥ……ブフゥ……!」


俺たちが悠長にしていたのは奴が襲いかかってこなかったからだ。何か考えがあるのか、それともただ必要以上に警戒しているのか。


「何にせよ、やることは変わらない。――倒して、帰る」


それだけだ。









「ガルッゾ! 受け止めずに受け流せ! それが無理なら避けろ!」


「ワシは防御より……ッ攻めるのが好き、なんじゃが、なぁっ!」


ガルッゾはキングタウロスの一撃を、盾を斜めに構え下に落とす。その攻撃の隙をついて片手斧で斬りつけるが、その筋肉には少し刃が減り(めり)こむだけだった。もう何度か繰り返された工程。だが、あまりダメージはない。


「チッ! やっぱり斧は両手で持たねば威力がでんぞぉ!」


だから、お前は盾役なんだよ。今は盾役の攻撃はそこまで重要じゃない。


ガルッゾに呆れを含んだ目で見ながら、俺はガルッゾに何度目かになる回復魔法を飛ばす。


「ガルッゾ! 口を動かすより目の前に集中しろ!……くるぞ!」



そうだ。奴の攻撃は振り下ろし(あれだけ)で終わらない。受け流された斧をすぐさま真横への一撃へと変化させガルッゾを襲う。


「ブッフォォォォ!!」


だが、それを見越していたのかガルッゾは地面に素早く伏せる。あれだけの重装備でよく動けるな。と感心した。


ガルッゾは伏せたままキングタウロスの足を数回斬りつけ、転がりながら体勢を立て直し「《戦士の雄叫び》ウオオオオオオオ!!」と叫びながらキングタウロスの正面に位置取る。


その武技によってキングタウロスはガルッゾに釘付けになる――そして同時に背後にはマリアが接近。


軽快なジャンプで跳び上がりその後頭部に蹴りつけ、更にその中空で回転しもう一撃、二撃、三撃。合計4回にも及ぶ強力な蹴りを叩き込んだ。


武技の名は確か《四燕脚》だったか。マリアの十八番である武技だ。最も、隙が大きいためあの攻撃後にはいつも反撃を喰らっていたが、問題ない。


カバーしてやればいいだけだ。



「グオオオオォォ……!?」



突然の頭への衝撃とダメージによりキングタウロスは咆哮をあげながら、背後を振り返った。


その、一瞬の隙だ。



「それは悪手だぞ、キングタウロス」



(いかずち)を纏う俺の鉄剣はバチリと音を鳴らし、奴に肉薄する。その斬撃が目指すのは斧を持った腕。


……紫電纏いし鋭い一撃。



「《紫電一閃》」



紫色の軌跡が奴の腕を撫でつけ――その豪腕斬り落とした。直後、血が噴き出す。


「グオオ!?」


「まだだ」


紫色の残光が残る中空に向けて、俺は魔技を放つ。


「《ボルトチェイン》」


一筋の雷線。それを受け止めた残光はその大きさを増し、キングタウロスに更なる追撃を与える。


「グブォォォォオオ!?!?」


全身に走る雷撃は、キングタウロスの体を少しの間だけ麻痺させる。


「今がチャンスだ! 全員、総攻撃!」


細かく補助魔法をかけなおしていたユーシィはその言葉に応えるように詠唱を開始した。


ガルッゾは深い笑みを浮かべながら盾を捨て、ガランと大きな音が鳴る。


「《目覚めよ刃よ》!」


刻言(ワード)。それは特殊な武器に仕込まれている機構を発動させるための言葉。


ガルッゾが待っていた片手斧の反対側にもう一つの刃が()()()

そして更にガルッゾが捨てた盾と重装甲の鎧の一部が両刃の斧に吸い込まれ――――大戦斧と変化する。


「やっぱり斧は両手で持たんと、いかんよなぁ……!」


凶悪な笑顔を貼り付けたガルッゾは大戦斧を構えて力を溜めた。


マリアは助走をつけた。バク転で何度も何度も距離を取る。ボス部屋限界である壁まで。


そして蓄積される()()()()()()()。そして壁を蹴りつけ、キングタウロスに高速で突撃する。その際、マリアの体は高速で横に回転している。さながら、銃の弾丸のように。



始まりはユーシィの多重詠唱魔法だ。といってもそこまで派手じゃない。ただ、無慈悲に蹂躙するだけだ。


「《ウインド》」


たったその一言。起こる事象は――風の刃。

その不可視の刃はキングタウロスの周囲に唐突に出現し、その筋肉隆々の体を切り裂いていく。……何度見てもエグい。


身体中から血を吹き出しキングタウロスは体をよろめかせるが、踏ん張って咆哮上げていた。



「……よくも盾の上から何度も殴ってくれたなぁ?――くたばりゃあッ!!」


武技ではない、純粋な腕力による斧撃。だが、侮れない。大戦斧の威力もそうだが、ガルッゾの膂力は並ではない。この状態の斧で武技を使用すると、ガルッゾの体が逆に壊れかねない。それほどの威力を内包している。


速度はそこまでではないが、その一撃を脅威と見たキングタウロスは残った腕で斧を構え、防御手段とした。


()()()()()()


その言葉通り、斧ごと腕を叩き折り、その胴にも刃を半ばほど切り裂き――振り抜かれる。

迸る鮮血。だがそれでも、キングタウロスはまだ倒れない。



ああ、終わったか。



――次の瞬間、キングタウロスの上半身中央から何かが勢いよく飛び出し、その巨躯に風穴を開けていた。


「……《力天覇弾》」


それだけを呟き、マリアは地面に着地した。






……あれ、オーバーキル感が否めない。

あっさり過ぎたかな…?


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