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四話 解散させないために

お ま た せ

宿に帰ってからも少し考えた。本当はミレスを呼び戻せばいいんだろうが、今頃ミレスはダンジョン内の筈だ。


ゲーム通りなら、ミレスの妹が熱を出して倒れる。そしてミレスはその病を治すための薬草を探しにダンジョンに潜るのだ。そこで初めて覚醒イベントが発生するのだが……。


「あのダンジョンには本来俺たちも潜ってた筈なんだが……俺たちがいなくても問題ないよな?」



そのダンジョンは俺たちとミレスのイベントが起きるダンジョンだ。簡単に説明すると、ミレスが強い魔物に襲われて偶然出くわした俺たちに助けを求めるが、それを俺たちは見捨てるのだ。


「まあ主人公特有のピンチで覚醒というお約束でなんとかなるんだけどな」


そのあとミレスは魔物を倒しながら無事に薬草を見つけ、勇者の能力の一つ、瞬間移動で家に帰るのだ。


その後少しだけ別シーンで俺たち(竜のアギト)が観れるが……。


「確か、ダンジョン攻略に失敗してたな。まあ回復士がいないんだから当たり前だな」


少し考えるだけでわかる事だが、本職の回復士がいないのにダンジョンに潜るなんて上級者でもやらない。


しかもその失敗でパーティー内に軋轢が走る。


「問題はあのダンジョンをどう攻略するかだな。回復魔法は俺が使えるもののレベルは低い。連携でどうにかなるか……?」



ベッドに寝転がりながら色々と思考する。俺たちのパーティーを解散させないために、俺が頑張らないといけない。







翌朝。


「ん……もう、朝か」


どうやらいつの間にか眠ってしまったらしい。

体を軽くほぐしながらベッドから出る。


「……顔、洗うか」


これまたいつも通りの朝の行動。顔を洗ったらいつもは宿の食堂で飯を食べ、みんなと一緒に行動を開始する。


まぁ、とりあえず顔を洗ったらみんなを部屋に呼んで、それから色々話し合うとするか。







「さて、俺の体調が戻った。ということはダンジョンに行けるということだ」


「やっとか! 腕が鈍るかと思ったぞ!」


「……」


「もう大丈夫……そうだね」



ガルッゾ。まだ一日しか経ってなかったろう。マリア、無言だが、俺を心配してくれたのは知っているぞ。

ユーシィは俺の顔色を見て納得したな。


「みんな、心配かけてすまなかったな。ーーさて、みんなを集めたのは今後の事を考えるためだ」


いつまでも倒れた事を気にしていても話が進まないので、俺は本題に入った。


「今後? なんか問題でもあんのか?」


「ガルッゾ。脳筋のお前でもわかるように説明すると、俺たちのパーティーにはもう回復士はいない。これがどういうことか……わかるな?」


その言葉に俺以外が首を傾げる。おいおいガルッゾ以外は分かってるかと思ってたが……やっぱりみんな阿保なんだろうか。少し、心配になってきた。


「でも、回復士がいなくてもレイジがいるじゃん!」



ユーシィがとてもいい笑顔でそう言った。可愛いが、やはり頭は良くないらしい。


「……(コクコク)」


おい、そこの無口ガール。同意して頷くな。


「おぉ! そうじゃそうじゃ! レイジは回復魔法が使える、だからミレスのヘタレはもういらんと言っていたのはレイジじゃろう!」


まったくもってその通りだから頭が痛い。前世を取り戻す前の俺を殴り倒したい。……ロード機能はない? 知ってる。


「ああ、その通りだが……、やはり回復士がいないとダンジョン攻略は難度が上がるだろう」


「……じゃあ、レイジはミレスをまたこのパーティーに加入させるってこと?」


そのユーシィの言葉で他の二人が分かりやすく顔を顰めた。


正直言って戻ってきて欲しい。勇者、欲しいよね。けど、そんな都合よくできたら問屋は卸さないのだ。


「……いや、ミレスはもういい。それよりも、パーティー内の役割を変えようと思う」


それはゲーム内では出来なかった……現実になって初めて自由にできる重要でかつ、俺たちの今後を決める勝機だ。



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