貴族のネーミングセンス
あれから1週間俺は薬草採取の依頼を沢山受けて、剣が完成するまでの間を過ごした。
その間、街の服屋で敗れた制服の代わりとなる、
グレーと黄色を足したような、色のゆる〜い感じの服を買い、
ズボンも白色安いやつを買い、心機一転を図った。
そしてついに今日武器が出来上がる日だ。
俺は空でも飛べるような軽い足取りで、
アイズの店に向かう。
実はアイズの店は王都の食街と呼ばれる、食べ物に関する店が多くあるそんな街にあるのだ。
食街に店を出した理由を聞いたことがあったけど、
面白そうだったからとか言う何とも適当な理由だった。まあ他にも理由はありそうだが……
「おい、ニックー様の道を塞ぐな!この平民が!」
馬鹿でかいその声は俺の目の前で聞こえた。
そこには、豪華な服を着た豚とその周りには騎士、
そして……腹を蹴られて泣いている子供がいた。
「お願いします。貴族様、我が娘の無礼をどうか許してはもらえないでしょうか」
「無理だ!この平民は今すぐ処刑だ!」
土下座をして娘を助けようとする親、そしてうるさい髭騎士。
見ててイライラする。
髭騎士は腰から剣を抜くと何の躊躇もなく剣を振り下ろした。
「なにやってんの?髭」
俺は振り下ろされた剣を子供の上で止め
そう髭騎士に聞く。
「誰だ貴様!!そこをどけ!」
「無理だし。そしてあんたら誰?」
「私はここにいらっしゃるニックー・ゼイ・ボイン
男爵の忠実なる騎士スーカである。」
「ブフォ」
思わず吹き出してしまう。
それもそうだろうニックー・ゼイ・ボインを逆から読むと、ボインゼイニックー。
ボイン♪ぜいにく、と読むことができる。
しかもこの髭騎士もスーカ逆から読んだら
カース、カスとなる。全くこの世界の家族のネーミングセンスを疑うよ。
「なにを笑っておるーー!はぁ!」
髭はそう言って俺に掴まれていた剣をもう一度振り下ろすが俺はそれをまた止める。
「豚はさっさと消えろ」
俺はそう言って殺気を飛ばす。
ゴブキン亜種と戦った時に急激にレベルが上がり、殺気を飛ばすことも可能になった俺は、豚と周りの騎士に向かってのみ殺気をとばした。
騎士達は腰を抜かしその場に腰を落とした。
俺はその間に蹴られていた子供を親の方へ向かわす。
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
親は、何度も俺に感謝を伝えてるが、
感謝するようなことでもない。
助けた娘からは、その子が持っていた飴をもらった。
この世界に、飴があったんだなと思いながら俺は、その親子に手をひらりと振りその場を後にした。
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