超ショートショート「冷蔵庫ヒンヤリファンタジーマン」No70
私は冷蔵庫の扉を開けて涼んでいた。午後の柔らかな陽光を浴びて、銀色に輝きだした冷気が、私の肌をなぞる。
私はただ冷たいジュースを取りに冷蔵庫に来ただけなのに、随分と足止めを食らっている。早く冷蔵庫を閉めなければという苛立ちと、この快楽とずっと一緒にいたいという愛情の間で、振り子のように随分と揺れていた。
振り子が止まり、いよいよ私がずっとここにいようという苦肉の決断をしたとき、ふと、冷蔵庫から流れる銀色の冷気が段々と不思議な形を成していく。それはヒューーー……と音を立てながら固まり、人の形になった。
人型の冷気は頭の口の部分をさらさら動かすと、こんなことを言った。
(冷蔵庫の中身が悪くなっちゃいますよ?)
私は、驚きで声が出ない。
(アイスがあるので、そちらを食べてひんやりしてください。冷蔵庫は私が閉めておきますよ。)
冷気の人は冷凍庫からアイスを私に渡してくれると、また細かい冷気に戻り、さー…と、冷蔵庫の扉の先に消えていった。もちろんしっかりと冷蔵庫の扉を閉めるのを忘れずに消えていった。
私はぼーとしながら、もう一度冷蔵庫のドアを開ける。野菜が変色し、少しダメになっていた。
あの人ももう少し早くそれを言ってくれればよかったのに。
私は文句を言いながら、冷たいアイスを食べた。すごくひんやりした。
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