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【メイン】超ショートショート小説たち

超ショートショート「冷蔵庫ヒンヤリファンタジーマン」No70

作者: なみのり

私は冷蔵庫の扉を開けて涼んでいた。午後の柔らかな陽光を浴びて、銀色に輝きだした冷気が、私の肌をなぞる。


私はただ冷たいジュースを取りに冷蔵庫に来ただけなのに、随分と足止めを食らっている。早く冷蔵庫を閉めなければという苛立ちと、この快楽とずっと一緒にいたいという愛情の間で、振り子のように随分と揺れていた。


振り子が止まり、いよいよ私がずっとここにいようという苦肉の決断をしたとき、ふと、冷蔵庫から流れる銀色の冷気が段々と不思議な形を成していく。それはヒューーー……と音を立てながら固まり、人の形になった。


人型の冷気は頭の口の部分をさらさら動かすと、こんなことを言った。


(冷蔵庫の中身が悪くなっちゃいますよ?)


私は、驚きで声が出ない。


(アイスがあるので、そちらを食べてひんやりしてください。冷蔵庫は私が閉めておきますよ。)


冷気の人は冷凍庫からアイスを私に渡してくれると、また細かい冷気に戻り、さー…と、冷蔵庫の扉の先に消えていった。もちろんしっかりと冷蔵庫の扉を閉めるのを忘れずに消えていった。


私はぼーとしながら、もう一度冷蔵庫のドアを開ける。野菜が変色し、少しダメになっていた。


あの人ももう少し早くそれを言ってくれればよかったのに。

私は文句を言いながら、冷たいアイスを食べた。すごくひんやりした。


文章を書く仕事を目指してます。具体的に目指すのは最高の癒し系小説!よりよい癒しのために日々精進していきます!

お気軽なアドバイス、コメントお待ちしています。一言もらえるだけで、モチベーションが上がりまくります!

今のところ、コメントが1つ2つ3つくらいしか来ないので、返信はほぼ必ずしていきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短く纏まった文章の中に物理的、心理的な温度の表現がたくさん詰め込まれてて読んでいて気持ちよかったです。 最後に優しく"ひんやり"で締めくくるのが良いですね
2018/10/29 18:10 退会済み
管理
[一言] 日常から、異界が現れる瞬間を見た気がしました。
2018/10/29 17:22 退会済み
管理
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