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第4話 魔法と魔術

私はこの国が嫌いだ。魔族同士の内戦も多々あり、本来共生しなくてはならない人間たちを無碍に扱う。特に最後が大きな理由だ。人類と多く関わろうとする魔族は少ない、圧倒的に自分たちよりも劣等種であるからだ。だが、彼らにあって我ら魔族にないものも存在する。しかし、大多数はそれを認めようとしないのだ。しかし、私は彼らの強みを知っている。だから私はこの国が嫌いだ。だから私はーー



***


7

授業が終わり、翔は職員室に呼び出されていた。ここはエバート魔法・魔術学校、国内唯一の魔法と魔術を学べる学校だ。入学基準などは特にない。金さえ払えばいいという学校だ。さらに、ラークロン王国騎士団に一生涯所属する義務を背負えば、入学金は半額ということもできる。ちなみに、翔は全額国に押し付け・・・もとい払ってもらったので、騎士団に入る必要はない。

「おぬしは本当に理論を理解しておるのだな」

この老人が、いう理由は一つ。翔がバケツを30分間素知らぬ顔でピクリともさせずいたからだ。魔力量1500の人間が持とうとするならばせいぜい10分程度だろう。

「…だから、俺を早く実技のほうに移動させてもらえませんか?」

翔は特に内容もみずに入学を決めた。まさか、一年生は座学だけとは思わなかった。

「では、いくつか問題を出す、二年生レベルの。それを理解しているのなら進級を認めざるを得ない」

「わかりました」

翔はレオから教わったことを思い出しながら問題を待つ

「では、基礎から、魔導とは何か説明しなさい」

「魔導とは、魔法、魔術の総称、それぞれに違いはあるが大気中の魔力を自分に取り込みその魔力を力に変えるもの。その人間の持っている魔力をためる器、つまり魔力量に力の限界は比例する。」

「正解だ。わしの2手先の答えで驚いているくらいだ。では次、魔法と魔術の違いに触れたうえでその二つを説明しなさい」

「魔法には大きく二つ物質に働きかける物質魔法と空間に働きかける空間魔法が存在する。精霊に働きかける精霊魔法も存在するが数が圧倒的に少ない。使用するには魔具を用い、性能は魔力量と魔具の性能どちらともが影響する。そして、魔術は魔具は必要なくできることも無限大にあるため分類は存在しない、その代わりに魔法陣や詠唱を用いる。性能は魔力量のみとなるため本人の力量のみとなる。」

翔は二つの質問を教科書を読むように当たり前に答えた。一年間鍛えられたのだ。頭にいやなほど入っている。そう思いながら鈍色の指輪に触れる。

「驚いた。精霊魔法も知っているとは、では問題を続ける」

ここから、質問は30題に及んだ。

「うむ、これだけできれば、進級は確実だろう。これだけ証人もいるんだ。あとで学園長に掛け合っておこう。明日から実技の準備をしておきたまえ」

「ううん…?」

さすがに疲れた、説明しなさいが30問となると一つ一つ文章を考えなくてはならない、翔の頭はパンクしそうだった。

「あ、でも魔力感知能力は低かったみたいだな」

出ていこうとしたところそういって呼び止められた。

どういうことだ?と思うと、先ほどまで自分が立っていた場所に魔法陣が浮かび上がった。

「これは、音を離れたところに飛ばす魔法陣…ですか…?」

「そうだそうだ。魔法陣を見ただけで読み取れるとはさすがです」

「何の意味が……………!?」

そこで翔は気づいた。この職員室の壁や床、天井すべてに障壁があってあることに。これでは、"外で何が起こっていようと中には聞こえない"

「やりやがったなぁ!じじぃ!!」

「はて、何のことやら」

これだけのことを一人で認識阻害もかけて成し遂げるとは、さすが教師ということか。

「はいはい、帰りのホームルームが始まりますよ」

それから、職員室を追い出されると人だかりができていた。そこから、日が暮れるまで、翔は質問攻めから逃げ続けていた。


***


翌日、翔は2年生の授業に参加していた。スタジアム状の体育館でタッグマッチだ。

「よ、よろしくねぇ…」

ペアの先輩はどうしても気弱そう…

「そんなに気負わなくても大丈夫ですよ交流試合みたいなものですから」

「き、君、先生脅して上がってきたって聞いたんだけどそんな風には見えないんだよなぁ…」

はて、なぜそんなことになったのか

「僕は、1年生レベルのことは理解していて2年生に上げてもらえるよう頼んだだけですよ。変なうわさが広がって…」

「あーなるほどそれなら納得かも」

ようやく先輩の顔が明るくなった

「はーい次そのペアだな、はやくフィールドに立って」

女性教師に言われ20m四方のフィールドに立つ。降参と場外が負けとなる。

「先輩、がんばりましょう!」

「そ、そうだね」

そして、相手を見る。1人はごつい、体格で魔力は変わらないのだが圧倒されてしまう。もう1人は、キノコヘッドの貴族のような風貌。

「おうおう、ヒッチ、坊やがペアだとつらいな、あ、お前も坊やか」

「お似合いじゃん二人とも」

ごつい1号先輩と2号先輩が笑う。ゲスの名前なんて覚える気にもなれなかった。

「僕はどういようといいけど後輩君を悪く言う必要はないじゃないか」

ああ、いい先輩だ。というか、教師はどうしたかと思うと楽しんでいた。ああ、そりゃあこうなるわ。

「聞いてるぜ!一年!お前魔力1500なんだってな!羽虫なんざ俺がひねりつぶしてやるよ!」

羽虫呼ばわりとは驚いた。翔はこんな言い争いが嫌いだ。とりあえず笑って適当に相槌を打っていた。

「あと、お前が美少女二人を家に連れ込んでるってな。あれ、俺に抱かせろよ」

翔の思考が固まり。何かの糸が切れた。先生もさすがにあせった様子だ。

「先生、最下級でいいので魔具を貸してくれませんか?」

少し驚いて

「うーん、魔具今私持ってないしなぁ」

すると、少し離れたところから声がした。

「おーい、これをつかえー」

そういって飛んできたのは腕輪型の魔具だった。

「お前気に入った!最初は表情変わらんし、つまらんやつかと思ったけど、なーんか面白いもの見せてくれそうやな〜そんなにいい代物ではないがちったぁ戦えるはずだ」

「おい!ガロン!何をする!」

ごつい1号先輩が叫ぶ。

「二年最強のあんたが一年坊をただただボコるのを見るのには気が引けるからな、せめて勝負になると思ったんやけど?」

「ガロン!お前!」

「いや、まて俺ら二人のペアが2年最弱と入りたての1年には負けねぇよこのまま叩き潰そう」

「お前が言うならそれでいいが」

1号先輩を2号先輩が止める。

「で、では、始めてよろしいですか?」

先生がおずおずと会話に入って来る。

「はい、そして先輩、僕が勝ったらさっきの言葉の取り消しと金輪際僕と僕の周りの人を悪く言うのはやめてもらいます」

「はは!いいぜぇ!ボコボコにしてやる!」

先輩は驚きながらも威圧感たっぷりの返事をした。

「では、はじめ!!!」


試合が始まった直後1号先輩が翔に向かって飛び出した。翔はとっさに後ろに跳びながら障壁を張った。

しかし、1号先輩の振り出された拳はいとも簡単に障壁を壊した。

「おらぁ!さっすが障壁も雑魚だな!」

一発目の拳は障壁が一瞬スピードを弱めたおかげで紙一重で交わした。

「やっぱ縛りプレイきついな!!!」

翔が心の底から叫ぶ。

「まだまだ行くぜ!」

それから何度も拳が叩き込まれるが何とかかわす。もう一つの戦いがどうなってるか横目で見る。すると、2号先輩はほとんど動かず火球を放ち、ヒッチ先輩はただただ、逃げ回る。しかし、一発も攻撃が当たらない。

「よそ見か!?余裕だな!!!」

油断した翔のほほを拳が掠める。身体強化はあまり得意ではない翔は少しずつ、だか確実に体力を削られていた。

「ヒッチ!相変わらず逃げるのは得意だな!」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

そこで翔は気が付いた。

「ヒッチ先輩!交代です!」

そういいつつ、1号先輩の目元に小さな爆発を起こしヒッチ先輩の腕を引っ張り1号先輩の前に出す。

「いたたたた!やってくれたな1年!ほう、次の相手はヒッチお前か俺を充分楽しませろ!」

まさに諸突猛進、次はヒッチ先輩を狙い始めた。

「さぁって、マッチング変更です先輩」

「ふん!雑魚風情が俺の攻撃を耐えられるとは思えんがな!」

そうやって、先輩の手のひらから、30センチほどの火球が放たれる。

「flame<炎上>!!」

翔の手からも火球が放たれる。しかしそれは、1メートルほどの大きさだった。

「………!!!なぜだ!なぜ、1500風情の雑魚がこんなでかい魔術を」

2号先輩の火球を飲み込みさらに肥大化した火球が2号先輩を襲った。障壁を張ったことから、ダメージを防いだがそのまま場外まで吹き飛ばされる。

先ほど、翔が気付いたこと、それは誰も詠唱を行っていなかったことだ。つまり、誰も魔術を使用していなかったことだ。

「先輩、これは、チート臭かったので一つ教えてあげますよ」

そういいつつ、奮闘する1号先輩に拳を向け腰を低くする。

「魔法は込める魔力と魔具の性能の加算です。そして、魔術は込める魔力をそのものが力になります。しかし、魔術と魔法は乗算なんですよ、つまり」

一瞬息を止める。

「よけろ!ジーク!!!」

1号先輩、ジークって名前だったのかかっこいいなと、感心しつつ魔力を込め、小さくつぶやいた。

「Body enhancement<身体強化>」

弾丸のような速度で吹き飛ぶ、2号先輩が叫んだことにより、結局翔の拳は1号先輩によけられてしまった。

しかし、その次の瞬間には、1号先輩に翔の拳が届いていた。1号先輩の身体強化をものともせず場外に吹き飛ばし、そのまま壁に激突し意識を失っていた。

「やっぱり、ヒッチ先輩は運動エネルギーの方向を曲げる魔法が得意だったんですね」

翔の拳は1号先輩によけられてヒッチ先輩のほうに向かったが、ヒッチ先輩が拳の方向を1号先輩に向けたのだ。

「よくわかったね、でも僕ってそれしか使えないし、所詮少し曲げるくらいしかできないから誰にも勝てないんだよね…」

ヒッチ先輩は遠くを見ていた。

「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

唖然となっていた周囲から少し遅れた歓声が鳴り響いた。

読んでいただいてとても嬉しいです。ありがとうございます

学校編、あと3〜4話し分は少なくとも続くと思います(と言いつつ倍くらいになりそう)

次回、すぐ上がる、と思います

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