シンギュラリティ
身体の調子が悪いので、交換する事にした。
少し老けてきたのと、疲れが抜けない気がしていた。
この前の身体は、運動性能、理解力などお世辞にも満足ではなかった。また、視力も悪かった。
ランクBだっただけに、期待ハズレだった。
そのポンコツぶりが良さだったのかも知れない。
ある意味使いこなせなかった、ということか。
身体は必ずしも所有する義務は無いのだが、僕は拘束感が気に入って身体を装着する事にしている。
意志をサーバにアップロードする事で、永遠に思考を継続できるのだが、永遠の思考自体、あまり興味が無いため、物心ついた頃から身体を装着している。
身体装着状態では、物理的にサーバと分離され、スタンドアローンになるため、ワークメモリは制限されることになる。
活動をして行くと、
そのうちワークメモリがオーバーフローする。
そうすると、眠くなる。
眠ることでにサーバに接続し、ラーニングした経験情報がアップロードされ、同時にワークメモリを空にする、といった仕組みだ。
また、活動を再開する。繰り返し実行する事で、
経験情報がたまっていき、サーバも更に賢くなる。
サーバが賢くなれば、何が良いのか、実は、
よくわからない。
サーバも僕らのようなプログラムで、データ体験学習を効率よく何度も行い、検証した後、特徴量が多いところに名前をつけて、保存。
また、データ体験学習を行う。何度も繰り返して、体験済みの事象を同カテゴリに割り振り、保存。
検証内容と名前を関連づけして、保存。
そうすると、データ、体験条件、検証内容などの各特徴に階層が出来て、それぞれに名前が発生する。
それを次元と呼ぶ。また、次元も複数次元での重ね特徴などをで固有の宇宙が発生し、その中で、小さなプログラムが発生し、別のサーバが生まれる。そのサーバは、上位のサーバに経験をまとめて渡す。
当然、無限に階層が出来。。
となっているようだが、
それがどうやって動いているかわからない。
僕らは、体験をしたくなる、という動機付けがされているため、拘束されたくなるのかなと、最近考察している。
身体セレクターのスペックを見ていた。
ランクが高いほど、たくさんのデータ体験が可能となっている。
[トータルランクC]
好奇心C
理解力A
運動性能C
環境D
トータルランクBが良いのだが、この前のように、使いこなせなかったということも考えられる。
無理せず、無難なところで、ランクCにしよう。
好奇心は高い方が、たくさんの体験が出来る可能性が高い。理解力が低いと体験をデータとして検証出来ないため、有用なデータを捨ててしまうかも知れない。
また、運動性能は、その世界での快適さなのだが、正直、ダウンロードしないとわからない。
でも、いつも、運動性能って重要だと、ダウンロードした瞬間思うんだよなぁ。
環境。これは、実は何のことかわからない。
これは、低い方がいいらしい。何度も経験しているが、アップロードすると、環境の意味合いがわからなくなるようになっている。
身体内部メモリにしか保存されないのだろう。
まあ、気にしても仕方ない。
そう意味では、この身体は結構いいように思う。
一個前の身体は、確か環境Aだったなあ。。
まあいいか。
セレクト、ダウンロードした。