4.ゆうしゃのこうしん
魔界を目指す勇者一行は、森を突き進みます。
道すがら、魔法使いのソフィアは悩んでいました。
幼なじみの勇者か、お城に仕える賢者か、麗しい王子、どのルートにすべきかを。
ルートにする、というのは、優先して好感度を上げる、ということなのですが、大前提として、ソフィアは小さい頃から幼なじみのロランのことが大好きなのです。この気持ちはぜったいにだれにも秘密ですが・・・。
ですがここは敢えて、敢えて物珍しさから、王子様ルートを選択することにしました。普通に生活していたら、王子様と接する機会もありませんからね。
なんか違うなと思えば、ルートを回避すればいいのです。
「王子様、お怪我は大丈夫ですか?」
魔物との戦闘でかすり傷を負ったライアン王子に、ソフィアは声をかけてみます。この際、重傷のロランと毒を受けたナユユは後回しです。
「今回復の魔法をかけますからね!」
「すまない・・・!」
ソフィアが回復の呪文を唱えると、みるみるうちに王子のかすり傷は塞がっていきます。重傷のロランと毒を受けたナユユは後回しです。
「おお、すっかり傷が治ったぞ・・・!かたじけない。」
《王子の好感度が3上がった。》
「お安い御用です。さ、たくさん歩いてお疲れでしょ?お水をどうぞ!」
ソフィアが水筒を差し出すと、王子は喉を鳴らし美味しそうに水を飲みました。
「おかげで乾きもすっかり癒えた。どうやら君は優れた癒し手のようだ。」
《王子の好感度が5上がった。》
王子の頬がほんのりと染まりました。
「妹を失った俺の心も癒してくれないかな・・・」
あ、やばい。イベントが始まりそう。
ソフィアは王子に小石をぶつけました。
「な、なにをする・・・!」
《王子の好感度が8下がった。》
なんか違うなと思ったソフィアは、今度は賢者ナユユに目を向けます。玉の輿狙いならこの際こちらでもまぁいいでしょう。普通に生活していたら、お城の賢者様と接する機会も以下略。それに大人の男性ってのも素敵かもしれない。
この際、重傷のロランは後回しです。
「ナユユ様、お加減はいかが?私が毒を消しましょう!」
「ぅぅぅ・・・助かるよ・・・」
ソフィアが毒消しの呪文を唱えると、ナユユの顔色がみるみる良くなり、すっかり毒が消えていきました。
「私も顔負けの回復術、お見事ですソフィア君。」
《賢者の好感度が3上がった。》
「お安い御用です!ナユユさん、この先は強い魔物が出る沼が控えています。魔よけの札を持っていてください!私の手作りで恥ずかしいですが・・・」
「これは・・・古代イュール文字!ソフィア君、これを一体どこで・・・!?」
「魔女である祖母に習ったんです。」
「イルー村の魔女といえば、大魔女マリーダ様の・・・!?なんということだ、まさか君があの偉大な魔女のお孫さんだったなんて」
《賢者の好感度が5上がった。》
ナユユの目がキラキラと輝きます。
「ソフィア君、全てが終わったら、私を君のおばあさまに紹介してはくれないか。君の、未来の恋人として・・・」
あ、イベントくる!
ソフィアはナユユに落ちてた獣の骨を投げました。
「痛い!こめかみに当たった!!」
《賢者の好感度が8下がった。》
どう考えてもおばあちゃん目当てだったので、ナユユもないなと思ったソフィアは、ロランに声をかけることにしました。
「ロラン大丈夫?」
「ごふ・・・僕はもうだめだ・・・」
少し時間が経ってしまったせいで、ロランは瀕死状態になってしまいました。ソフィアが慌てて大回復魔法をかけると、ロランはなんとか一命を取り留めました。
「ひどいやソフィア!僕を見捨てようとしただろ!」
「いいじゃない、結局助けてあげたんだから!」
ぷんぷん怒るロランに、ソフィアはさらりと言い返します。
「ソフィアは幼なじみの僕より、昨日今日出会ったばかりの権力者を選ぶんだ!権力に屈するんだ!!」
「なによ!!」
キッと睨みつけたソフィアは、少し涙目でした。
「あなたこそ、幼なじみのわたしを置いて、お姫様を助けに行こうとしたじゃない!あわよくばお姫様とケッコンしたいんでしょう!?何が権力よ、あなたこそ権力の犬よ!!」
「ソフィア・・・そりゃ誤解だよ・・・あと、犬はひどいよ」
今回の救出作戦はロランにとって本当に不本意でしたが、まさかそれを引き受けたことで、大切なソフィアに勘違いをさせてしまったとは。嫌ならキッパリ断ればよかったと、ロランは自分を責めました。
すっかりしょげかえってしまったロランを見て、少し言いすぎたかな、とソフィアも反省しました。
「ごめんね、ロランが好きこのんで冒険に出たわけじゃないって、分かってるのに。だってあなたは、気が優しくて不器用で、臆病で、泣き虫で、」
「ソフィアがいなきゃ何にもできない、ただの職人だからね。」
二人は顔を見合わせると、ふふふと笑いました。
《ソフィアの好感度が、5上がった。》




