表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名前の無い少女   作者: 暁 和歌
第1章 魔術具店 クロード屋
2/23

神殿のお勤め

 わたしには母さんがいない。いなくても神殿で過ごしてるため、面倒を見る人はいる。別に、いなくても不自由したことはない。

 神殿は、国に数個ある程度で誰も近寄ろうとしない。神殿はあまり良いイメージを持たれていないのだ。

 わたしは、クラントールという町にある神殿の神殿長。神殿内で一番偉い人で、5歳という若さで神殿長になれたのは、魔力量が一番多かったからだ。

 今、わたしは神殿外での役目を終え帰るところだった。


「ねぇ、リータあれは何かしら?」


 リータはわたしの側仕えで、小さい頃から見てもらっている。他にも側仕えはいるが皆神殿でお留守番している。

 リータは茶色の髪にオレンジの瞳の女性だが、無表情で滅多に感情を表に出さないため落ち着いて見える。


「あれですか?……私にはわかりません」


 わたしたちは、天馬が引っ張っている馬車に乗っている。その側には力なく飛ぶ羽の生えた猫が飛んでいた。

 わたしが捕まえようとして身を乗り出すとリータが慌ててわたしの肩を押さえた。


「何をするのですか」

「そんなに身を乗り出すと落ちます。…私が捕まえるので待っててください」


 わたしが睨むとリータは溜め息をついて猫を捕まえてくれた。

 猫は真っ黒な毛に黄色い真ん丸とした目をしていた。


「何でしょう。こんな生き物見たことありません」


 リータは生物が好きで、神殿にある本でよく詠んでいた。もちろん主に見つかったら怒られるため、こっそりと。

 でも私は、怒らない。本が好きな勉強熱心な側仕えは大歓迎だ。


 (珍しい、リータの目がキラキラしている)


 普段、余り感情を表に出さないリータの珍しい表情の変化にびっくりしていると、馬車がドン!!と揺れた。


「な、何事ですか!?」


 猫は馬車が揺れたせいで、ジタバタと暴れだした。その勢いで馬車からポーンと飛んでいった。


「あっ、待って!」


 わたしが猫を捕まえようとしたら、馬車から出て、まっ逆さまに落ちていった。

 髪がバタバタと肌に当たって痛い中、わたしは猫を捕まえて、リータの悲鳴と何か言っている叫び声を聞きながら、落ちていった。

 わたしは猫をしっかり抱きながら、意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ