プロローグ
母さんは、いつも優しく、わかりやすくわたしの知らないことを教えてくれた。問題を起こして怒っていながらもどうすればいいのか聞くと、頬を膨らましながらもちゃんと教えてくれた。
(母さんは何してるのだろう)
そんな母さんは今、薄暗くひんやりした部屋の真ん中に立っている。周りには、知らない大人の人達がいて何か話し込んでいる。わたしは母さんの近くに行こうとしたが、わたしの後ろにいる人が肩を押さえられて行かしてくれない。
しばらくたって、おじさんが何か言い始めたが、言ってる内容は難しい。なんか、「いはん」とか「つみ」とかとか聞こえる、意味はわからない。
「母さん!」
おじさんが言い終わった後母さんは頭を下げその場に座った。声をかけてみると、母さんはこっちを向いて悲しげに笑った。
「―――生きて、母さんはいつでも見てるから。悲しくなった時はいつも言ってた言葉を思い出して、前を向いて、……―――は大丈夫だから」
その言葉を最後にわたしの母さんは居なくなってしまった。
今、母さんをなくしたわたしは誰も近寄らない神殿で神様にお祈りをしていた。
始めました。
楽しんでくれたらとっても嬉しいです。