とある色と建国者の話
空は青い。雲はさほど見えない。強い風が窓に暴力を振るって、ガラスが悲鳴の様な音をたてる。
それはそれでいい。
ハケを押しつける度、泡混じりの糊が紙についた。それに千切った紙をちまちまと貼り付ける。
「……何故建国者たる我がこの様な作業に従事せねばならない?」
「建国者」
「……建国者」
「建国者……」
何だお前ら。不満か。
モブとムーミンと絡むのが怠い国語教師が、三人揃って吹き出していた。
「悪いかよ」
「いや……国名は?」
滅多に見せないニヤケ顔を見せながら、ムーミンが訊ねてくる。
「……ニコニコ共和国」
「「共和国かよ」」
「悪いかよ。……元の名前は池沼帝国だったが、大ニコニコ宇宙帝国に侵略され今の姿になったのだ」
「ニコニコって名前なのに悲しい……」
「うるせぇよ教師はよ帰らせてくり~」
ちまちまぺたぺた貼り付けるのは本当に面倒だ。
そしてこいつらにいじられるのはもっと面倒だ。
「人口は?」
「……5、6人」
「「少なっ!!」」
バチカン市国より少なくて悪かったな!!オレの国に10人以上国民がいたら危ないんだよ!!オレが!!
「他の国民114万514人はニコニコ宇宙帝国の兵に殺されてしまったのだ、仕方ないのだ……」
「きたない数字使わないで下さい」
「にゃー!?」
モブに肩パンされ、仕方なく作業に戻る。
ああ……国、作りたいな……
名前を付けるんだったら、池沼帝国よりテヘペロ大帝国の方がいいかもしれない。
今日も平和だ。
「……何故建国者たる我がこの様な作業に従事せねばならない?」
「「「敗戦したから」」」
「そうか」