表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんにちは 呪い代行屋さん   作者: てるてる坊主
10/13

憑獣呪殺の解き方

連載再開です!!

よかったら感想お願いします

鎌田のおかげで目が覚めた。

俺は呪い代行であるとともに呪いを解く側であるということも。

俺は依頼人が誰だろうと依頼を遂行する、そう誓ったのだ。

「でも…斎藤さん、憑獣呪殺は…解くことなんてできるんでしょうか?」

鎌田が心配そうな顔で言った。

「俺が浮かんだ方法は…三つだ」

「それって…」

「今は一つ目を実行しようとしてる。話は内藤さんが来てからだ。」


それからしばらくして内藤さんがやってきた。

「あの…本当に依頼を受けてもらえるのでしょうか?」

「はい…」

「ありがとうございます…」

「……」

俺は内藤さんにご主人と息子さんにかけられた呪いについて説明した。

内藤さんは終始辛そうな顔で聞いていた。

「そうですか…そんな呪いが…」

「ええ…だからあと二ヶ月以内に解かなければ取り返しのつかないことに…」

「…お願いします。主人と息子を助けてください。」

「はい…ところで内藤さんはこの方をご存知でしょうか?」

俺はそう言ってある絵を見せた。

その絵には痩せた中年の男が書かれている。

「え…ええ、でもどうして。」

「……この男がおそらく憑獣呪殺を誰かに依頼したのです。」

俺には以前から呪われた人を呪った人が見える。この呪い代行を始めた時からだった。

原因は分からない。俺が一度死んでから見えるようになったのだ。


「この人って…」

「話していただけますか?」

「ええ…」

話を聞くと俺の絵に書かれている男はある会社の社長だったらしい、だが内藤さんのご主人が経営している会社が現れてからだんだんと経営が困難になって倒産してしまったという。

「名前は…佐々木大輔です。」

「わかりました、それでは早速始めさせていただきます。」

「本当によろしくお願いします。」

「…最善は尽くします。」




「それにしても斎藤さんすごいですね。」

内藤さんが帰ってから鎌田が言ってきた。

「何が?」

「呪った人間なんて分かるんだ。」

「……俺にもなぜか分からない。この呪い代行を始めた時から見え始めたんだ。」

「そうなんですか。…ところで一つ目の方法ってなんでしょうか?」

「ああ…この佐々木って男を説得して呪いを止めてもらう。」

「なるほど…でもどうやって探すんですか?」

「うん」

俺はあるところに電話をかけた。

『もしもし』

『なんだ、斎藤か?』

『菅さん、頼みたいことがあるんですが。』

刑事の菅さんなら何か知ってるかもしれないと思い電話をした。

『…何だ、できる範囲で協力する』

『佐々木大輔って男を探しているんですか』

『佐々木大輔……〇〇会社の社長だった男か?』

『え…ええ、知ってますか?』

『佐々木は…死んだよ。』

『え!?…いつですか?』

『おそらく一ヶ月ほど前だろう。自宅で首吊り自殺をな…』

『………』

『…他に何か聞きたいことはあるか?』

『いえ…ありがとうございました。』

俺は菅さんに礼を言って電話を切った。

「斎藤さん、どうでした?」

鎌田が心配そうに聞いてきた。

「……ダメだった。二個目の方法に移るか。」

「二個目って?」

「…………呪った人間、つまり斎藤一族に会いに行く。」

「…え…」

「それしか方法はない。…詩織ちゃん、しばらく留守にするから頼んだ。」

そう言って事務所を出ようとした。

「…ま、待ってください」

「…ん?」

「その…私も行っちゃダメですか?」

鎌田が小さな声で言った。

「…今回は危険だ。場合によっては死ぬかもしれない……。詩織ちゃんには無事でいてもらいたいから。」

「……だからです」

「え?」

「…斎藤さんにだけ危険な目にあわせるわけにはいかないんです。内藤さんはノロノロ事務所に依頼したのであって斎藤さんにしたわけではありません。」

「……気持ちは嬉しいけどな。」

「お願いします。連れて行ってください。」

「じゃあ一つ約束してくれ。」

「…何でしょうか。」

「もし自分の身に危険を感じたら一目散に逃げてくれ。」

「……わかりました。」

「…じゃあこれ、持っといて。」

そう言って俺は鎌田にスタンガンを渡した。

鎌田はブルブルと手を震わしながらスタンガンを大事そうにしまった。

「よし、行こう。今は時間がない」

「…はい。」



それから俺たちはタクシーを呼んでかつて俺がいた集落まで運転してもらった。

集落の外には出たことはなかったのだが、住所は知っていたのでだいたい近く付近まで車で行くことにした。

さすがにタクシーの運転手は場所を言われても知るはずもなかったので、俺が道案内をすることになった。

長い運転だったので鎌田は後ろの席で寝かせていた。






それから約10時間後…

「詩織ちゃん、詩織ちゃん!!」

「…うわっ!?…あ…着いたんですか?」

「ああ、…ここだ。」

タクシーに金を払い、降りた。

タクシーは気味悪がったのか猛スピードで帰っていった。

「……集落の外、街あったんだ。」

「…そうですね。案外電車でも来れたかもしれませんね。……確か…斎藤さんって集落の外から出たことなかったんですよね。」

「ああ、考えたこともなかった。」

ふと鎌田を見ると鎌田の右手が左手でぐっと握ってる。左手はガタガタ震えてるようだった。

「……ここ…少し空気が違いますね。」

「……詩織ちゃん。」

「はい?」

「やっぱり怖かったら帰ってもいいぞ。ここからは安全は保証できない。」

「……もう覚悟してます。行きましょう。」

そう言って鎌田は森の中に入っていった。

「詩織ちゃん」

「大丈夫です、私も自分自身くらい守れますから。」

「そうじゃなくて……そっちじゃない。」

「え……そ、そうなんですか。」

途端急に顔が赤くなる鎌田を見て、俺は笑った。

「ははっ、詩織ちゃん相変わらずだな。」

「斎藤さんに言われたくないですよ。」

「……なあ詩織ちゃん。」

「ん?」

「俺、詩織ちゃんに会えてよかった。時々腹立つこともあったけど、本当に楽しかった。」

「…お別れみたいな感じで言わないでくださいよ。……私も斎藤さんに会えてよかったですよ。時々腹立って録画してた番組消したりとかしたけど。」

「……って、え!?あれ詩織ちゃんがやったのかよ。」

「そうですよ。」

「ふざけるなよ…。ドラマとか最終回のやつ消したりとかした?」

「しましたよ。ダメでした?」

鎌田はにこにこと笑って聞いてくる。

「絶対ダメでしょ。」

「だって斎藤さん雑用ばかり押し付けてくるから腹たって…」

「はぁー…まったく…。」

「…ふふ」

「「ははははは………………」」

2人そろって笑った。

こんな温かい気持ちになったのは久しぶりだ。

「……そろそろ行くか」

「………はい。」


そして俺らは山に入っていった。不思議なことに道に迷う感じはなかった。外から集落へ入ったのは初めてだが、次はどっちに行けばよいとかわかったのだ。


そして10分くらいたって


「……あった。」

「…これは…」

「これが集落の入り口のようなものだ。俺はここから先に出たことはなかった。」

「まるで鳥居のようですね。」

高さは7メートルくらいある鳥居のような門がそこにあった。

まるでこの世とあの世の境界線のようだ。

「…これから先に何があるか分からない。危険を感じたら一目散に逃げろ。たとえ俺が転んだり、助けてくれと叫んでもだ。…分かったか?」

「…斎藤さんもお願いしますね。」

「…ああ…それじゃあ入るか」



そう言って俺たちは集落に足を踏み入れた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ