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二人の皇子

「ねぇ、詩織ってこんなのに興味ある?」

友達の千夏がいつものように砕けた笑顔で聞いてきた。

「何が?」

「これだよ。」

そう言いながら、千夏は私の目の前に二枚のチケットを見せてきた。そこには黒い小さな文字で”二人の皇子”と書かれていた。

「何これ?」

「何これじゃなくてさぁ、舞台。ほら前に話したでしょ!!私の好きなタカラヅカのこと。」

そういえば前にそんな話を聞いたことがあった。あの時は他の友達もいてあまりにも熱く語る千夏の話なんか左から右に受け流してたけど・・・。

「で、これがどうしたの?」

「これがどうしたのって、一緒に見に行こうって誘ってるに決まってるでしょ。」

「えぇーなんでうちがあんたと一緒に見にいかなあかんの。自分で見に行けば言いやろ。」

「だって、一緒に見に行く約束してた叔母さんが急に入院しちゃって。舞台ってやっぱり、その・・二人で見たほうが面白いし。ねぇ、お願い。こんなん頼めるの詩織しかいいひんねん。お願いー」

千夏は二年前に横浜から越してきたので、喋るときは標準語がベースだが大阪に住んでる私たちと接しているうちに関西弁も少し混じるようになってきた。そんな純粋でキラキラした顔で頼まれたら私だって断るわけにはいかない。

「別に、ええよ。ほんでその舞台いつなん?」

「良いの。やっぱり持つべきものは話の分かる友達だね。でね、実はこのチケット明後日のなんだ。」

明後日とはまた急な話だな。まぁ別に大した用事も入ってないんだけど・・。

「場所は、梅田芸術劇場。風組が創設されてから初めてなんだよ、ここでやるの。」

あまりタカラヅカに詳しくない私でも風組創設の話は知っていた。あれは一年前のことだっただろうか。2025年の春、今までの花、月、雪、星、宙組に加え、新たに風組が誕生した。

理由は団員が増えたためで、三年前から検討していたらしい。風組の誕生にファンは大喜びしていたのをニュースで見ていた記憶がある。

その後、授業が終わって私と千夏は明後日の待ち合わせ場所を確認して別れた。

そして・・・観劇当日

朝の十時に阪急梅田駅の南改札で待ち合わせた私と千夏は芸術劇場まで歩いて行った。

昨日は興味は無くてもせっかく見に行くのだからと想い今日見に行く舞台のことや風組のことについて

調べてみた。しかし、千夏には言わなかった。きっかけを作って熱くなると困るから・・

まずは風組からさっきも説明したように一年前に新たに創設された組で各組からバランスよく団員を集めたらしい。その中でトップスター(主演になる男役)は花組からきた寿 瑠璃也で入団して10年になる人物らしい。タカラヅカの組にはそれぞれ特徴があるらしく風組は雪組のように日本物が得意で、

歌の技術はアンサンブルを得意とする宙組にも勝るという。今回見に行く舞台はその得意な日本物で

奈良時代の中大兄皇子と大海人皇子、二人の間で取り合いになった額田大王との切ないラブストーリーである。こうやって調べているとタカラヅカも面白そうだ。

こう想い始めたことが私の人生を大きく狂わせることになるとはこのときの私たち二人には想像もつかなかった。

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