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キズ跡と、涙。それは……

作者: 心花
掲載日:2013/07/13

「お前は肌が白くてキレイだな」


 ある日、彼がポツリと言った言葉。

 それは、彼が始めて褒めてくれた言葉だった。


 「え? そかな」


 そんな返事をしながら、内心すごく嬉しかった。だから、面倒な日焼け止めも小まめに塗るようになった。


 そんなある日。


 私は火傷を負った。

 右足の、ひざ下から20センチの大きなヤケド。


 ヤケドは時間が経つたび酷くなって、私の心までヒリヒリと痛めつけた。


 どんどん、ひどくなる痛み。

 どんどん、ひどくなる見た目。

 こんなところに、痕がのこったらイヤだ!


 まるで、心臓にまで火をつけられたようだった。

 心の叫びは、喉を通ることなく涙となって溢れ続けた。


 そのまま、どんどん、どんどん、暗闇に落ちて行くようだった。


 その暗闇から救ってくれたのが、私の周りにいるみんなの声だった。

 あたたかな言葉たちは、穏やかに私の心に響いて、悲しみの涙を少しずつ、あたたかな涙に変えてくれた。




「ねぇ? やっぱり傷はキレイに治って欲しいけど、どーしてもダメだったら、その時はそれを受け入れられるような気がして来たよ」


 私は彼にそう言った。


「なんで?」


 彼は私にそう聞いた。


「だってね、傷が残ってしまっても、それを見るたびに、みんなが優しくしてくれたことを思い出せるから」


「そか」


 私の言葉に、彼は複雑な顔をしてから、私の頭にポンと手を乗せて、穏やかな笑顔を見せた。


 ヤケドした時は、傷が残るかもしれない恐怖心でいっぱいだった。けれど、みんなの優しさが、その恐怖心を穏やかな気持ちに変えてくれた。


 だいじょうぶ。もう、傷の手当の時も泣かないよ。

 もう、傷口を見てもだいじょうぶ。

 私はこの傷と向き合って、ちゃんと肌をいたわってあげるんだ……


 彼の笑顔に、私も声もなくそっと微笑んだ。すると彼は穏やかな瞳のまま


「まぁ、おまえが傷跡のせいでお嫁に行けなかったら、その時は俺がもらってやるよ」


 そう言った。


「えーやだよ。傷跡があってもなくっても、いつかあなたのお嫁に行きたいな。ダメ?」


 私は彼の瞳を見上げてそう言った。


「ばーか。いつか……ちゃんとプロポーズするから、心はそのまま、キレイなままでいるんだぞ」


 彼に髪をくしゃっとされながら、うっすら瞳に涙が浮かぶ。


 それはもしかしたら……


 いつか純白のドレスに身を包みながら流す

幸せの涙の、前触れかもしれない。









 最後まで読んでくださりありがとうございました。この作品は、作者が実際に火傷を負った経験から書いたものですが、フィクションです。

 作者に、あたたかな言葉をかけてくださった方々、本当にありがとうございました。そして、現在傷の治療中の方や、傷跡が残った方々には、心の傷が少しでも癒えます様に、願っています。


 いつも感想や評価、お気に入り登録などありがとうございます!


 これからも頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*)



心花(このか)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 実話をベースにされていることもあって、気持ちがこもっている作品ですね。 彼も私もどちらも素敵な二人でした。 彼は優しく、彼女は強いですね。 [一言] こういった時こそ本音を出せるチャンスな…
2013/07/15 23:32 退会済み
管理
[一言]  ヤケドを負ってしまった時の心境、その後の心境が良く伝わってきて、心がキュっとしました(ここはたぶんノンフィクション……)。  前向きな彼女とそれを支えてくれそうな彼。きっと大丈夫。そんな…
[一言] 「彼」の優しさと「私」の強さを感じて、とても感動しました‼ 特に最後の言葉、とても素敵だなぁと思いました 二人に幸せが訪れることを祈っております(^^) 素敵な話をありがとうございます♪…
2013/07/13 21:07 退会済み
管理
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