キズ跡と、涙。それは……
「お前は肌が白くてキレイだな」
ある日、彼がポツリと言った言葉。
それは、彼が始めて褒めてくれた言葉だった。
「え? そかな」
そんな返事をしながら、内心すごく嬉しかった。だから、面倒な日焼け止めも小まめに塗るようになった。
そんなある日。
私は火傷を負った。
右足の、ひざ下から20センチの大きなヤケド。
ヤケドは時間が経つたび酷くなって、私の心までヒリヒリと痛めつけた。
どんどん、ひどくなる痛み。
どんどん、ひどくなる見た目。
こんなところに、痕がのこったらイヤだ!
まるで、心臓にまで火をつけられたようだった。
心の叫びは、喉を通ることなく涙となって溢れ続けた。
そのまま、どんどん、どんどん、暗闇に落ちて行くようだった。
その暗闇から救ってくれたのが、私の周りにいるみんなの声だった。
あたたかな言葉たちは、穏やかに私の心に響いて、悲しみの涙を少しずつ、あたたかな涙に変えてくれた。
「ねぇ? やっぱり傷はキレイに治って欲しいけど、どーしてもダメだったら、その時はそれを受け入れられるような気がして来たよ」
私は彼にそう言った。
「なんで?」
彼は私にそう聞いた。
「だってね、傷が残ってしまっても、それを見るたびに、みんなが優しくしてくれたことを思い出せるから」
「そか」
私の言葉に、彼は複雑な顔をしてから、私の頭にポンと手を乗せて、穏やかな笑顔を見せた。
ヤケドした時は、傷が残るかもしれない恐怖心でいっぱいだった。けれど、みんなの優しさが、その恐怖心を穏やかな気持ちに変えてくれた。
だいじょうぶ。もう、傷の手当の時も泣かないよ。
もう、傷口を見てもだいじょうぶ。
私はこの傷と向き合って、ちゃんと肌をいたわってあげるんだ……
彼の笑顔に、私も声もなくそっと微笑んだ。すると彼は穏やかな瞳のまま
「まぁ、おまえが傷跡のせいでお嫁に行けなかったら、その時は俺がもらってやるよ」
そう言った。
「えーやだよ。傷跡があってもなくっても、いつかあなたのお嫁に行きたいな。ダメ?」
私は彼の瞳を見上げてそう言った。
「ばーか。いつか……ちゃんとプロポーズするから、心はそのまま、キレイなままでいるんだぞ」
彼に髪をくしゃっとされながら、うっすら瞳に涙が浮かぶ。
それはもしかしたら……
いつか純白のドレスに身を包みながら流す
幸せの涙の、前触れかもしれない。
最後まで読んでくださりありがとうございました。この作品は、作者が実際に火傷を負った経験から書いたものですが、フィクションです。
作者に、あたたかな言葉をかけてくださった方々、本当にありがとうございました。そして、現在傷の治療中の方や、傷跡が残った方々には、心の傷が少しでも癒えます様に、願っています。
いつも感想や評価、お気に入り登録などありがとうございます!
これからも頑張りますのでよろしくお願いします(*^^*)
ー心花ー




