⑨
人の噂なんて、あたしは大っきらいだぁ!!!
あっという間に雄輔との噂は広まって
その内容も、
『授業が終わって、雄輔くんにあかりが連れてかれたらしいよ。』
『へー、どこ行ったんだろうね・・・』
『授業が終わってから雄輔くんとあかりがどっか行ったらしい。』
『えー!二人で?マジ?』
『授業が終わるとすぐに二人で消えたらしいよ。』
『どっちが誘ったの?』
『しらなーい。でも、雄輔くんが誘ったりする?』
『じゃ、あかり?』
『授業が終わった途端、
あかりが雄輔くんをどっか連れていったらしい。』
なんていう伝言ゲーム。
あのね・・・・・
事実はちゃんと確認しようよ・・・・
あたしの心配なんて、あっけなく実現すんのよね。
テニス部の練習を終えて
ボールを片付けていたら、
いきなり横から先輩たちがバラバラっと現れて
ぐるりと囲まれた。
あ・・・休み時間の先輩たち・・・・
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
にこやかな顔で
なぜか狭い野球部の部室に連れ込まれでしまう。
笑顔が逆に怖いです・・・。
「雄輔に手出しはしないでって言ったわよね?」
グイッと一歩近寄られて、思わず後ずさり。
「どういうつもり?」
ンなこと言われてもですね・・・
「それは俺のセリフだな。」
思わず振り返る。
部室の入口には、夕陽をバックに雄輔が立っていた。