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この先の結末  作者: みほ
82/84

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バイトの時間に間に合うように


あたしは夕方の道を走っていた。




「ぎゃっ!」


色気のない声と共に


ありえないくらい綺麗に転ぶ。




うわぁ・・・恥ずかし…


小学生の時以来かも・・・・




そんなことをふと思いながらも


慌てて立ち上がり


必死で走る。


遅刻なんてするわけにいかないでしょ。


働いてるんだから。




☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*☆*゜ ゜゜*




その日、なぜか講義が長引いた。


「オレ、部室いくから。


バイト遅れんなよ。気をつけてな。」


雄輔の声に、ざわっと


胸の奥の何かが反応した。




ん?




時間を気にしながらも


あたしは雄輔の背中をしばらく眺めていた。


あれ・・・?


部室と反対側に曲がった・・・・




向こうには大学図書館。




ありえない。


雄輔が図書館なんて。




なのに雄輔は図書館の前に歩いていく。




嫌な予感指数が倍増した。




雄輔の前に、人影が飛び出してくる。


2人で何か話しているのが見える。




また?




今までにも何度か


女の子からの呼び出しがあった雄輔は


一応律儀にそれには応じ、


お断りはしているらしい。




らしいというのは雄輔からそう聞いたから。


雄輔は幼馴染だけあって


あたしの性格はよく知っている。


そういうのは隠すとロクな事はないからって


笑いながらいつも教えてくれる。




だけど、目の前で見ると


心穏やかでいられるはずもなく・・・




気付くとバイト遅刻すれすれだった。


気になるのはやまやまだけどす


これ以上は見てらんない。


気分的にも時間的にも。




゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜ ゜・*:.。..。.:*・゜゜・*:.。..。.:*・゜




「ちょっと・・・あかりちゃん、


こっち来て。」




バイトの持ち場に入った途端


先輩のシュン君にスタッフルームへと


呼ばれた。




「ダメだよ、ちゃんと手当てしないと。」


そう言って、あたしを椅子に座らせると


手際良く消毒をし始めた。




「すみません・・・・」


血のにじんだ膝に消毒液がしみる。


「こんなにひどい傷、ほっといたらダメでしょ。


化膿したらひどいことになるよ。」


そう言ってそっと膝の周りの砂を払う。




その指の動きがなぜか艶めかしくて


あたしの頬に朱がさした。



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