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二人真っ赤になったまま
「そろそろ、向こうで次のイベント始まるころかな。」
なんて立ち上がると
「行こ♪」
って、雄輔の手を引っ張った。
こんなとこにずっと座ってたら
心臓が持たない。
まだ胸には雄輔の手の感触が残ってて
じっとしてるわけにはいかなかった。
真っ赤になって死んじゃいそう・・・・
「そうだな・・・」
雄輔も立ち上がり、
にぎやかな音のする方へと視線を向けた。
2年生のどこかのクラスが
にぎやかにマイクで叫んでる。
「ぜひ参加したい方ないですかぁ!
豪華な景品付きです!!!」
どうせ桜を仕込んでるとは思うけど
何人かがステージに上がる。
借り物競走みたいで、ステージ上のテーブルには
封筒がいくつも置いてあった。
それがまた、尋常じゃなくデカイ・・・
中には段ボールに書かれたお題が入っているらしい。
それを首にかけて借り物を探すそうだ。
「あんな格好して走るの無理だな・・・」
苦笑しながら雄輔が見物を決め込む。
「あたしはちょっと豪華景品が気になるけどな。」
くすっと笑ってスタートする人たちを見ていたら、
なんと・・・・・
とんでもない札が続出。
『学校中で、一番怖い先生。』
『他の人は知らない秘密がある人。』
『一晩一緒に過ごしたい人。』
『自分と体重の差が10キロ以上ある人。』
『学校中で一人しか出来ない特技がある人。』
『二股かけたことがある人。』
『キスのうまい人。』
『自分と両想いの人。』
・・・・・・・・・・
「これって、合格を誰が判定すんだよ・・・」
「マジ?」
舞台上では一瞬出演者がひきつった顔をした。
そりゃそうだろ。
どうやって探す?
誰が考えたか知らないけど
誰を連れて帰ってくるか楽しみ♪
・・・と、見物を決め込んでると
『一緒に来てください!』
一人の女の子が雄輔の前に立った。
「え?オレ?」
「はい、そうです!早く!」
勢いに押されて、
雄輔は彼女の後ろを走ってついて行く。
びっくりしたけど
そのあと、あたしは唖然とした。
彼女の首から下がっていたお題は・・・
『一晩一緒に過ごしたい人。』