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妙な高揚感の中、
あたしは雄輔との約束の場所に向かった。
約束してたんだ。
一緒に文化祭、まわろうねって。
「よっ!」
模擬店の衣装のまま
雄輔があたしに声をかけた。
一瞬心臓が飛び跳ねた。
この時間には、いろんな模擬店も
叩き売り状態になってくる。
売れ残りが出ないように
外に出て売り子をする人も出てきた。
「これどうですか?美味しいですよ♪」
女の子が数名、雄輔の前にやってきた。
雄輔はちらっとあたしを見ると
「どれがいい?」
ってあたしに問いかけた。
かごの中には数種類のクッキー。
「・・・・・・・チョコのがいいかな。」
「んじゃそれ。」
雄輔が買ったクッキーを早速開ける。
「そこ座ろうぜ。」
雄輔に促され、ベンチに座る。
スーツ姿の雄輔がいつもと違って
大人びて見えた。
「ほら、食えよ。うめーぞ。」
「ありがと・・・」
ポロポロと胸のあたりに粉がこぼれた。
「こぼすんじゃねーの。」
雄輔が笑いながらこぼれたクッキーの粉を
胸元から払う。
「きゃっ!」
思わず小さく声をあげる。
だって・・・・
胸元に触れた手の感触は
あたしにはあまりにも刺激が強すぎて・・・
しかもあたしも、雄輔のリクエスト通り
というか、時間ももったいなくて
ステージ衣装のまま。
胸元は大きく開いて素肌だった。
いっきに鼓動が倍のスピードで打ち始める。
「あ・・・ワリぃ・・・」
真っ赤になったあたしを見て
雄輔も真っ赤になった。
「そんなつもりじゃ・・・」