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ヤンキー座りもさまになってる雄輔に
どうしても視線が行く。
目が合うと、ニヤッと笑ってた。
やりにくいなぁ・・・・
こんなブリブリの衣装だし・・・・
KARAのまねしてお尻フリフリなんて
めっちゃ恥ずかしいんだけど・・・
あたしのキャラじゃないし・・・
ま、サッカー部やバスケ部の男子たちが
お尻フリフリしてるのよりは
可愛いとは思うけどさ。
ちょっと冷や汗かきながらステージが終わると
「すげー気合入ってんじゃん。」
って、雄輔が声掛けてきた。
「その衣装、着たままで来いよ。」
なんて言って雄輔は自分の教室へと戻っていった。
これから1時間の休憩。
あたしはほなみと一緒におそろいの衣装のまま
約束通り雄輔のクラスの模擬店へ。
「ちょっと・・・・ここに入んの?」
「そう・・・だけど・・・」
ふたりして一瞬立ちどまったのは
入口の派手な装飾。
もう節電はいいのか?ってくらいピッカピカ。
誰かが家のクリスマス用イルミネーション、
全部くっつけたでしょ!
て感じ。
うーーん、なになに?
ワンドリンク制。10分一本勝負?
なんじゃそれ?
「いらっしゃーい!待ってたぜ♪」
いきなり両側から思いっきり背伸びした衣装の
男の子たちがやってきて
あたし達を中に強制連行。
「ち・・ちょっとぉ!」
「まぁまぁ、そう言わずに♪」
ニッと笑ったのは野球部の沖田くん。
「げ・・・何その格好・・・」
「別人だねぇ・・・・」
ちなみに沖田くんもあたしたちは
小学校の時から知っている。
心なしか、ほなみの頬が赤い。
「お!それ俺の客だから!」
嬉しそうな顔して雄輔がすっ飛んできた。
「こっちだ。」
有無を言わせずあたしの肩を抱いて
席までエスコート。
隣にはほなみと沖田くんも座った。
「来てくれてうれしいよ。」
「ゆっくりして欲しいとこだけど、
10分楽しんで行ってね。よろしく。」
甘~~~いほほ笑みを浮かべる雄輔と沖田くん。
以前買っていた食券のクリームソーダーを
オーダーする。
「その衣装、すっごい似合ってるよな。
スゲー可愛いよ。」
え?今の沖田くんのセリフ?
沖田くんって、そんなキャラじゃなかったよね・・・
ほなみは照れて真っ赤になっている。
ギョッとしたあたしに
「お前も可愛すぎ。
このままどっかに消えて~くらいだ。」
なんて、じっと見つめられる。
な・・・なによ・・・これ・・・・
不覚にも顔が赤くなるのが
どうしても止められなかった。
所詮模擬店って分かってんのに・・・・