⑦
授業が終わるのを待ちかねたように
ほなみがやってきた。
「何かあったんでしょ?どうした?」
「・・・・・・」
心配そうな顔されて何も言わないのも
ものすごく気が引けるけど
今口を開くと、涙も出てきそうだから・・・
と、その時、雄輔が
「これ持って帰っといてくれ。」
と、ほなみにあたしの荷物を持たせると
「来い!」
って、手首を掴まれて引っ張られた。
ほなみは、雄輔に手渡されたあたしのノートと
あたし達を見比べながらも
なんだか嬉しそうな顔してる。
「やめてよ。」
あたしの抗議もむなしく
雄輔は足を動かすスピードを緩めない。
そのままあたしは誰も来ない
階段の踊り場に連れてこられた。
「誰に絡まれた?」
「からまれたとか言ってないけど?」
いきなりのストライクな発言に
どぎまぎしながら答えると
「それ以外にお前が、ンな顔するわけねー。」
って、きっぱり言い切った。
「ちょっとくらいのことなら
あかりのくせに、へこたれたりすっかよ。」
バカにすんなと言わんばかりの雄輔の言い草に
ちょっと笑ってしまう。
でも、言えないよ。
相手はあんたの先輩だなんて。
この前あんな嬉しそうな顔して
二人で会ってたんでしょ・・・・
あたしは無理に笑顔を作ると
「雄輔には教えてやんな~~~い♪」
って、ふざけて逃げようとした。
そうでもしないと完璧泣くから。
なのに・・・あのバカ・・・・・
「オレにも言えねーって?」
って呟くと、いきなりあたしをその腕に閉じ込めてきた。
一瞬体が硬直した。
怖い?
イヤ違う・・・・
びっくり・・・?
ちょっとそうかも。
でも一番の原因は、雄輔だったから。
あたしの恋心に拍車かけてどうすんのよ・・・
ったく・・・・